日本では約4300万人の患者がいると推計されている「高血圧」。
長年、高血圧の診断基準は「140mmHg(収縮期血圧)/90mmHg(拡張期血圧)」とされてきたが、日本高血圧学会が「高血圧治療ガイドライン」を改訂。75歳未満の成人の降圧目標が「130/80mmHg未満」に変わったことで、「高血圧」患者に当てはまる人の数が激増したためだ。
降圧目標が厳しくなった理由は、さまざまな研究において、「120/80mmHg未満」の人たちと比較して、血圧が上がるごとに脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが上昇することが明らかになったからだ。
しかし、自覚症状に乏しい高血圧をコントロールするのは難しい。
具体的な予防策としては減塩だ。高血圧学会の推奨する1日の塩分量は6グラム。例えばラーメンなら1杯6グラム、きつねうどん5.8グラム、カレー3.8グラムの塩分が含まれているのでなかなか厄介である(「毎日の食事のカロリーガイド改正版」女子栄養大学出版部)。
日本人の食塩摂取量の平均値(国民健康・栄養調査2019年)は、男性で約10.9グラム、女性で約9.3グラム。なかなか厳しい値だが、日頃の食事の中で少しずつ減塩を心掛けるのが大切だ。
野菜、果物、青魚など多価不飽和脂肪酸を多く含む食品や、低脂肪の乳製品を積極的に摂取しよう。油の多い肉類やラード、バターなど、動物性食品に含まれる飽和脂肪酸やコレステロールの摂取は控えたほうがいいだろう。
さらに、体格指数のBMIを25未満に維持することや、節酒・禁煙、軽強度の有酸素運動を毎日30分、以上行うことも心掛けたい。
これらの生活習慣の修正は、高血圧の人に限らず、死亡抑制効果が期待されるため、日頃からの実践をお勧めしたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。