「心筋梗塞」といえば冬の病気と思われがちだが、夏の時期も発症リスクが高い。
「心筋梗塞」とは心臓の血管が完全に塞がり、血流が途絶える状態を指す。胸痛の他に、冷や汗を伴う腹痛、肩、背中、咽喉などの痛み、めまいなどの症状が現れることもある。
特に、胸痛が10~20分以上続く場合や、痛みが非常に激しい場合は、心筋梗塞の可能性が高い。
発症の最大原因は、「動脈硬化」だ。冬の場合は、熱を外に逃がさないように血管が収縮して、血圧が上昇。その際に、血管が詰まってしまうことで動脈硬化が起こりやすくなる。
一方、夏の心筋梗塞は「脱水」が原因で発症するケースが多い。暑い日には汗を多くかくため、十分な水分補給をしていないと体が脱水状態に陥ってしまい、血液中の水分量が減少してしまうからだ。血液中の水分が減ると血液がドロドロになって血栓ができやすくなり、動脈硬化を引き起こしてしまうのだ。
特に夏場の予防法としては、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病患者、肥満、喫煙習慣がある人は、発症リスクが高いため生活習慣の見直しや治療を行うことが必要だ。
とりわけ、脂肪や塩分の摂りすぎに注意し、軽い運動を行うことで、リスク低下が期待できる。
脱水状態が動脈硬化を引き起こすケースが多いため、水分補給をすることも大切だ。その際に、1度に大量の水分を摂取するのではなく、こまめに補給することがポイントとなる。特に、起床時やスポーツ中、入浴の前後、飲酒中、睡眠前などは水分が失われやすいため、コップ1杯程度の水分補給をするように心がけよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。