連日の猛暑で食欲不振や睡眠不足に悩まされている人が多いかもしれないが、この時期は「夏うつ」にも注意が必要だ。
これは「夏季うつ」と呼ばれている季節性のうつ病で、6月から9月にかけて発症しやすい。
「夏うつ」は「夏バテ」とよく似た症状があるため間違えやすいが、この2つの大きな違いは、精神的な不調があるかどうかだ。「夏バテ」は体がだるい、食欲不振、寝不足などといった夏の暑さによる体調不良の総称だ。一方の「夏うつ」は、身体の不調に加え、不安や憂うつな気持ち、落ち込み、やる気が出ないなどの症状が多く見られる。
「夏うつ」の原因のひとつが暑さによる自律神経の乱れ。炎天下の屋外からエアコンの効いた建物内に入ると、急激な温度の変化に体が対応できずに自律神経がダメージを受けることも。睡眠不足も自律神経のバランスが崩れてしまうので注意が必要だ。
仕事など何らかのストスを抱えている人も「夏うつ」を発症しやすい。体がリラックスできずに緊張状態が続くと交感神経が優位に働き、頭がオーバーヒートしてしまうのだ。
この状態が続くと、心身が疲弊して、うつ状態になってしまう危険がある。
まずは、日光を浴びることを控えることが最善の予防策だ。この暑い時期は昼間の外出を極力控えるなどの工夫を忘れずに。エアコンの使用にも注意が必要だ。つけっぱなしにすると体が寒さで慣れてしまうので、設定温度と外気温の温度差を5度以内にすることが望ましいが、ただし猛暑日などはその限りではない。
食事も、冷たく、口当たりのいいさっぱりしたものばかり食べたくなるが、肉や魚、卵、チーズなどのタンパク質を積極的に摂取することも心身の疲れを取ることにつながる。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。