この作業員が続けて明かす。
「俺たちがやっているのは、主に汚染水や、建物を解体したあとのガラ(産業廃棄物)の運搬がメイン。解体などで出てきた汚染物質は、原則的に集積場まで運んで一カ所に保管する決まりになっているけど、汚染水に関してはかなり適当なもんだ。解体作業で建屋などにかけた水は、汚染水として処理することになっているんだが、そのへんの草むらにバラ撒いているよ。まぁ、現場を管理するお偉いさんが来た時だけはタンクに集めているけど。ふだんの作業では絶対にやらないな。ガラなんかも同じで、会社から支給されているトラックだと小さすぎて、とてもじゃないけど全てのガラを積載するのは無理なこと。しかも集積場は現場から車で2時間近くかかる遠隔地だから、効率が悪いわな。若いヤツにやらせる分にはいいけど、当然、過積載になるまで積んでるから、警察にバレると切符を切られるでしょ。だからもっぱら重機で穴を掘って地面に埋めちゃうことが多い。若い連中には『なんか悪さをしたらガラと一緒に埋めっぞ』なんてジョークを飛ばすこともあるよ」
進次郎氏が能天気に発言している足元では、依然として汚染物質が垂れ流しにされているというのである。だが、震災から8年が経過してもなお収束が見えないだけに、作業員のモチベーションもきわめて低い。加えて慢性的な人員不足でモラルも欠如しているという。先の作業員も福島とゆかりの深い進次郎氏の入閣に対して冷ややかだ。
「大臣就任早々、小泉さんがテレビなんかで福島を訪問しているニュースを見たけれど、除染の現場では気にも留めてない。たとえ現場に来たとしても、俺たちの仕事内容が変わるわけでもないし、逆に小泉さんが来たから『何が変わるの?』って聞きたいぐらいだ。せいぜい、お偉いさんは小泉さんが俺たちの現場に視察に来る時にはちゃんと作業するけど(笑)。除染作業の終わりはまったく見えてないよ」
まさに、福島の現場は、新参者の環境大臣には目もくれずといった按配なのだ。