日本チームの活躍ももちろんだが、他国の大男たちが魅せる肉弾戦に日々盛り上がる、ラグビーワールドカップ。日本ではサッカーや野球に比べ馴染みのないスポーツゆえ、当初は失敗に終わるのではないかと心配されもしたが、結局は杞憂に終わり、大会関係者もホッとしているだろう。が、1人だけ、関係者の間で「悔しさで歯ぎしりしているのでは」とされているのが、元ラグビー協会名誉会長の森喜朗氏である。
「“森氏といえばラグビー”と言われるほど縁があり、2005年から15年まで日本ラグビー協会会長を務め、その後も名誉会長として今大会の招致に尽力しました。ところが今年4月17日に、突如退任を表明したんです。体調の問題かとも言われましたが、東京五輪・パラリンピック競技大会の組織委員長はまだ続けている。ラグビーに人一倍の情熱を持ってるゆえに、失敗した時の責任を感じて先走りしてしまった、とも噂されました」(スポーツ紙記者)
15年にイングランドで行われた前回大会で、日本は過去2回の優勝経験を持つ南アフリカを撃破したことで、ラグビー熱は一気に上昇。五郎丸歩というスター選手も生まれた。大会関係者はこう言う。
「しかし一方で、毎年、花園ラグビー場で全国大会が開催される高校ラグビーは大手スポンサーがすでに降り放送枠が縮小した状態。大学でも早慶戦、早明戦という人気カードはあるものの、全国区とまではいかないところで留まっていた。それが一転、W杯開始以降、日を追うごとに熱は増し、日本戦では視聴率は爆上がり。街のスポーツバーも大混雑しているという。もちろん日本代表の強さが過熱ぶりを呼んでいることは間違いなく、盛り上がりも一過性である可能性はありますが、少なからず日本人のラグビー人気の底上げになったことは間違いない。森さんとしても。そんな状況を前に『オレのおかげだ!』と胸を張って言いたかったに違いありません」
ともあれ、もうしばらく日本の快進撃に酔いしれたいものだ。
(津田昌平)