エンタメ

天才テリー伊藤対談「船山基紀」(1)イントロは最初の5秒に命を賭ける

●ゲスト:船山基紀(ふなやま・もとき) 1951年、東京都生まれ。早大学院から早大政治経済学部経済学科中退。大学3年時にアルバイトで始めた「ヤマハ音楽振興会」でのポピュラーソングコンテストの仕事で編曲の基礎を学び、74年よりフリーの作編曲家として本格的に活動開始。77年、沢田研二「勝手にしやがれ」で日本レコード大賞受賞。そのほかにも中島みゆき、五輪真弓、渡辺真知子、Wink、中山美穂、荻野目洋子、森川由加里、田原俊彦、少年隊、SMAP、KinKiKids、TOKIO、嵐など70年代から現在に至るまで数多くの歌手・アーティストの楽曲を手がける。著書「ヒット曲の料理人 編曲家・船山基紀の時代」(リットーミュージック)が発売中。10月26日、東京国際フォーラムCにて開催される「渡辺真知子コンサート2019 ~現在・過去・未来~」に出演。

 70年代から誰もが知る大ヒット歌謡曲のアレンジを数多く手がけ、現在もジャニーズ関連の楽曲ほか幅広く活躍する編曲家・船山基紀氏。これまでの仕事を振り返る著書「ヒット曲の料理人」で明かされた名曲に秘められたエピソードに、さしもの天才テリーも驚きを隠せない!

テリー 「ヒット曲の料理人 編曲家・船山基紀の時代」読ませていただきました。これがまた、実に興味深い内容で。

船山 なんともお恥ずかしいですね、長くやっているだけなんですけれど。

テリー でも、作詞・作曲家にスポットが当たることはあっても、曲のアレンジを施す編曲家の仕事の大事さに注目できる機会って、ほとんどないですからね。

船山 70年代の歌謡曲を聴いて育った世代が、今になってこういう形で僕たちの仕事をまとめてくれる機会が増えてきているんですよ。ありがたいですね。

テリー また巻末の編曲作品リストが圧巻ですね、これだけで100ページ近くありますから。船山さんが手がけた有名タイトルを軽く挙げるだけでも、沢田研二「勝手にしやがれ」、渡辺真知子「迷い道」、五輪真弓「恋人よ」、Wink「淋しい熱帯魚」‥‥とにかくヒット曲ばかり。

船山 ハハハ、それが全部印税契約だったら、今頃、海外に住んでいますけど。

テリー 編曲の仕事は印税じゃないんですか。

船山 違うんです。1曲ごとの買い取りなんです。アレンジは作曲に付随する扱いになっているので、基本的に印税はなくて。

テリー ええっ!? アレンジによって曲のよしあしって大きく変わるから、本当に大事な仕事なのに。曲のイントロって、編曲家の方が書かれているんですよね。

船山 ええ、イントロを作るのは編曲家の仕事です。60~70年代は、作曲家の先生がギターやピアノで弾き語ったテープを渡されて「じゃあ、頼むよ」なんて依頼される形ですから。90年代以降、パソコンや音楽ソフトが普及してからは、作曲家がイントロも作って「これ、もうちょっと膨らませてよ」みたいな注文も増えましたけど。

テリー 船山さんの手がけた曲がまた、イントロのインパクトの強い曲が多いんですよね。ジュリー(沢田研二)の曲なんて、イントロクイズで出されても1秒でわかりますから。

船山 昔はレコード盤に針を落として5秒以内に「何だ、この曲は!?」って驚いてもらえないと、ラジオなんかで聴いている人たちの耳に引っ掛からないんですよ。だから、イントロを作る時には最初の5秒に命を賭けているんです(笑)。

テリー ダチョウ倶楽部の「つかみはOK」みたいな感じだ。

船山 まさにそれ(笑)。山口百恵さんの音楽プロデューサーとして有名な酒井政利さんとよく仕事をさせていただいたのですが、「船山君、イントロっていうのは1回ひねっただけじゃダメなのよ。まず1回ひねって、僕のところに持ってくる時は、もう1回ひねって来てね」なんて言われたりしましてね(苦笑)。とにかく編曲家には、そういうムチャな注文が多いんですよ。

カテゴリー: エンタメ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論