●ゲスト:木村 清(きむら・きよし) 1952年、千葉県生まれ。中学校卒業後、パイロットを目指し、航空自衛隊に入隊。訓練中の事故により目を負傷しパイロットの道を断念、74年退官。中央大学法学部(通信教育課程)を卒業。74年、大洋漁業(現・マルハニチロ)の子会社「新洋商事」に入社。水産業に携わり、築地市場で多くの取引先を持つようになる。79年、独立し、「木村商店」創業。弁当屋、カラオケ店、レンタルビデオ店などを経営し、85年、「喜代村」設立。バブル崩壊時にメインバンクの裏切りにあい、全ての事業を清算。手元に残った300万円で築地に寿司店「喜よ寿司」を開店。2001年、築地場外に日本初の24時間営業・年中無休の寿司店「すしざんまい本店」を開店。わずか40数席で年商10億円を達成。現在は全国に54の寿司店を展開。今年の築地市場のマグロ初競りで最高値7連覇を逃したことも話題となった。
寿司チェーン店「つきじ喜代村 すしざんまい」を全国に展開、ネタにこだわる“マグロ大王”としてメディアにもたびたび登場して話題を呼んでいる木村清氏。毎年恒例となる初競りの最高額マグロ落札を逃した直近の話題から築地の問題まで、天才テリーと徹底的に語り合った!
テリー 毎年、築地市場のマグロ初競りは、木村社長の最高額落札で大きな話題を呼んでいましたけど、今年は7連覇を逃しちゃったじゃないですか。
木村 はい、負けちゃいましたね(笑)。
テリー 以前は1億円ぐらいの高値が付いても競っていたのに、今年は3645万円で競り負けていたのにはビックリしちゃいました。どうして今年は勝てなかったんですか?
木村 あの1番マグロ、あえて買わなかったんです。
テリー あ、負けたのではなくて見送った?
木村 そうです。始まる1時間ぐらい前にうちの社員とバーッとチェックするんですが、その1番のクロマグロは確かに大きかったんですが、あまりよくなかった。それで買うのをやめたんです。
テリー なるほど。マグロって普通いくらぐらいで取り引きされているんですか?
木村 普通の大間のマグロで1キロ1万、よいものだと1.5万。だから1本200万~300万です。
テリー そうか、それが初競りでは10倍に上がるわけだから、すごいな。
木村 1番手のマグロは、新年のご祝儀ですね。
テリー 例えば3500万で落札したら、釣った人にはいくら入るんですか?
木村 築地市場に5%、大間の組合に5%くらい入って、その他諸経費を引いて80~90%が本人の取り分です。
テリー ということは、初競りのマグロ1本だけで1年間くらい仕事をしなくても大丈夫じゃない。いいなァ、夢のような仕事だ。僕もやってみたいですよ!
木村 ハハハ、「大間の夢」っていう言葉もあるぐらいで、一攫千金を目指して、たくさんの人がチャレンジしてますけど、実際はなかなか釣れないみたいですよ。
テリー そりゃそうでしょう。例えば、僕が勝手に船を出して釣ったものでも、買ってもらえるんですか?
木村 いやいや、確かにテリーさんが釣り上げたら話題になるかもしれませんけども、ちゃんと組合に入っていないとダメなんです。松方(弘樹)さんも、よく大間に釣りに行かれていましたけど、その時はやっぱり組合に相談して、組合員と一緒の船に乗せてもらって釣ってたみたいです。
テリー いや、実は僕も小さな船を持っているんですよ。相模湾なんかで、ちっちゃい魚を釣ったりして楽しんでいるんですけど、それを聞いたら無理そうですね。まず、そんな大きなマグロを釣ったら、船が絶対に沈んじゃう(笑)。
木村 いや、組合員が登録されている船なら、テリーさんが釣っても大丈夫でしょうから、ぜひ一度、大間に行ってチャレンジしてみてくださいよ。私が買いますから(笑)。
テリー えっ、ホントですか? そう言われると、つい調子に乗っちゃいそうで怖いなァ。