私は俳優として、またボランティア活動として、海外100カ国以上の国を訪れてきました。
海外でのいろんな出会い、客人へのもてなしは、ほとんど珈琲ですね。国によって淹れ方、点て方がみんな違うんです。
藤岡は86年にハリウッド映画「SFソードキル」に主演した経歴もあるだけに、ハリウッド流の珈琲の飲み方も熟知している。
ハリウッドの人たちはブランデーやバーボンと一緒に飲んだり、最後には一緒に入れたりして、とても独創的でおもしろい。角砂糖をかじりながら飲む映画のスタッフもいましたね。
私も試しましたが、バーボンと珈琲はなかなか合いますよ。またステーキとの相性もいい。珈琲の飲み方もアメリカ流、フロンティアスピリットといったところでしょうか。珈琲とその国の文化は直結していると思いましたね。
世界的に見たら、お茶の文化よりも珈琲の文化のほうが広がってます。どこの国に行っても珈琲はありますからね。
一方で藤岡は、珈琲に日本流のアレンジを加えている。
父が武道家でもあり、母は茶道や華道の師匠だった。そのため、家にお茶の道具が当たり前にあったことでヒントを得たようだ。
お茶の道具を持ち出して、日本流に珈琲を点てたら、味が変わるんじゃないかと。茶ちゃ筅せんで泡立てて飲んでみたんですよ。
これが、おいしい。とてもまろやかになるんですね。
茶道の茶器に入った泡だらけの珈琲、見た目はとても、違和感を感じるかもしれません。
でも、イタリアのエスプレッソ、あれも泡立てて飲んでますよね? 日本流のエスプレッソだと思ってもらえればいいんじゃないでしょうか。
私は日本に来た外国人の方に、よく茶道流に珈琲を点ててあげるんです。そうすると、びっくりするんですよ。みんな珈琲カップでしか飲んだことがないから、お茶の道具と器で出てくるとアゼンとしてる。でも、飲み終えた顔は、満足と感動にあふれていますね。
ホントに珈琲は奥が深い。まだまだ新しい飲み方あると思うんですよ。日本酒を飲みながらの珈琲も合うし、和菓子にも合います。特に“あんもの”に合うんです。
疲れてる時はブドウ糖や黒砂糖、チョコレートをかじりながら珈琲を飲むと体力の回復に効果がありますよ。「藤岡弘、探検隊」の時の飲み方です。私はこれを「気合いモード珈琲」と呼んでおります。