かつては子供の病気と思われていた「風疹」だが、最近では9割近く大人が発症するという。しかも多くは女性より男性が発症している。
昨年夏には首都圏を中心として、抗体がない30~50代の男性が主な感染源となって、職場などで感染が広まって多くの風疹患者が出た。そのため、昨年12月には厚生労働省から、感染リスクが特に高いとみられる39~56歳の男性を対象として、2019年から約3年間、免疫の有無を調べる抗体検査とワクチン接種を原則無料にするという発表がなされた。無料の背景には、ワクチン接種には最大1万円程度、抗体検査には約5000円の費用がかかるのがハードルとなっていると考えたためだ。
なぜ女性より男性が多く発症するのか。それは、風疹は、先天性風疹症候群を防ぐことに主眼が置かれていたため、ワクチン接種は1977年から女子中学生を対象に行われていたからだ。ちなみに、男子全員に接種するようになったのは95年からである。
風疹の主な症状は、小さく赤い発疹が全身に広がって、発熱、リンパ節の腫れ、目の充血、咳などの症状が出て、まれに関節痛が出る場合もある。大人がかかると、長期化・重症化しやすい。
風疹は咳やくしゃみの飛沫で広がり、感染力はインフルエンザよりも強く、1人の患者から7~8人にうつるといわれる。
「風疹にかかったことがある人は二度とかからない」と言われているが、過去に風疹にかかっていても、予防接種を受けることによって、特に副作用などの問題が起こることはない。免疫をいっそう強化する効果もある。
自分が風疹にかかったか、予防接種を受けたことがあるか把握していない人は、ぜひ予防接種を受けることをおすすめする。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。