得点力アップと「将来の主砲」のため、本拠地改造が決断されたようだ。
昨年10月、地元名古屋のメディアが、与田剛監督率いる中日ドラゴンズの本拠地・ナゴヤドームに「ホームランテラス」を新設する計画があると伝えていた。球団関係者は計画があること自体は否定していなかったが、詳細に関しては「知らない」「聞いていない」とはぐらかしてきた。しかし、21年シーズンからのホームランテラスの運用は間違いないようだ。
「そもそも、この計画が検討された背景には、ドラゴンズの打線低迷という恥ずかしい理由がありましたからね。厳密に言えば、打線低迷ではなく、決定打不足」ですが」(地元関係者)
19年の中日は、チーム打率2割6分3厘でリーグトップ。セ・リーグの打率10傑のなかにビシエド、大島洋平、高橋周平、阿部寿樹の4人がランクインしている。しかし、チーム総得点563はリーグワースト2位。総本塁打数は90本のワーストで、こちらはリーグトップの巨人の半分以下ということになる。
つまり、中日打線は走者はためるが「あと1本」が出ないということ。「決定打=ホームラン」の解釈から、両翼100メートル、中堅122メートルという広さのナゴヤドームをなんとかしなければならないと思い、上層部が決断したという。
「ホームランかと思ったら外野フェンス直撃…なんて打球が多々ありましたからね。4.8メートルというフェンスの高さも、12球団の本拠地球場の中で最も高い。計画では、ヤフオフドームを参考に、右翼、左翼のフェンス前にテラス席を設け、野球以外のコンサートなどで使うときは撤去できるようにするといいます」(スポーツ紙記者)
正式発表はこれからだが、球場の改造には地元の後押しもあったという。
「ドライチの石川昂弥の影響は大きいですよ。石川の魅力はなんといっても長打力で、将来の4番候補。それも、地元愛知県の出身ですからね。石川が本塁打を量産すれば、絶対に集客率も上がります」(前出・地元紙記者)
球場改造という大きすぎる期待に、黄金ルーキー・石川が潰されてしまわなければいいのだが…。(スポーツライター・飯山満)