「カネの力」は本当に必要だったのか…。セ・リーグのペナントレースは原巨人のマジックナンバー点灯で終焉間近となったが、2位から5位は、いまだ混戦状態にある。5位(9月13日現在)の中日を率いる与田剛監督としては、「昨季と変わらず」の5位では格好がつかない。最低でも4位、あわよくば3位の心境だろう。
「オールスター戦以降、“例の制度”を復活させたんですが、チームを発奮させるまでには至ってません」(スポーツ紙記者)
例の制度とは、「報奨金制度」のことだ。中日は「対戦カードで勝ち越す」と、選手たちに特別ボーナスを渡していた。開幕当初からそうなっていたが、チームが勝率5割を切ると、いったんペンディングとなった。
「それを、与田監督がチームを奮起させるため、フロントにお願いし、報奨金制度を復活させたんです」(前出・スポーツ紙記者)
少なくとも、ある時期まではこの報奨金復活はそれなりの効果を見せていたという。与田監督が制度復活を訴えたのは、選手のためを思っての温情。ところが、である。制度が復活して間もない7月27日だった。松坂大輔が1イニングも持たず、1/3回32球8失点のKO劇を喫し、以後、チームは完全にシラケきってしまった。報奨金制度は継続されたが、チームはジリジリと後退し、今日に至っている。
「故障者も多く、先発投手がフル回転している時だったので、チームは松坂に期待していました。最初の復帰登板は勝利しましたが、真価が問われるのは2度目の登板。二軍調整中に知人とゴルフに出掛けた一件もあり、結果的に松坂はチームに水を差すばかりです」(地元メディア)
松坂と対照的なのが、8月28日に昨年7月以来の勝ち星を揚げた小笠原慎之助だ。最初の復活登板では好投しても報われず、チームは「何とかしてやりたい」の一心で、対戦した巨人・菅野に襲いかかった。
チームを発奮させるのは、投手のガンバリ。報奨金よりも、効果は絶大だ。与田監督も小笠原の復活を手放しで喜んでいた。報奨金の値上げなどは話題になっていない。ともあれ、今オフ、松坂がチーム低迷の責任を追及されるのは必至の情勢だ。
(スポーツライター・飯山満)