「各球団が松坂獲得に触手を伸ばさなかった背景には、右肩が壊れているんじゃないか、再生不能ではないか、という疑惑があるんです」
こう話すのは、セ・リーグ球団のスコアラーだ。
「昨季はほとんど隠れるようにしてリハビリをしていたため、ごく限られた人間しか情報を持っていません。『肩が治っているならソフトバンクで投げているはず』との声もあります。どの球団の編成担当も『上半身だけで投げるあのフォームだと、投げ込むと肩を痛めるので1シーズンはもたない』という見方をしているのがほとんどですね」
中日はそうしたマイナス要素に目をつぶってまで、獲得に舵を切った。ただし、
「白井文吾オーナー(89)への報告前に共同通信が報じたんです。慌てて各スポーツ紙が追いかけたものの、話を聞かされていなかった白井オーナーが『(松坂の)賞味期限は切れている』と発言して、あわや幻になりかけた」(中日球団関係者)
森監督と球団フロントが白井オーナーを説得して事なきを得たが、中日にはそれほど背に腹は代えられない球団事情がある。元中日監督だった楽天・星野仙一球団副会長(70)が「昔は満員だった球場が、今はガラガラ。寂しいね」と嘆くほど、ナゴヤドームの観客動員問題が深刻化しているからだ。球団関係者が続ける。
「優勝争いをしてもお客さんが来ないと、森監督の立場も危なくなりますからね。松坂獲得は森監督の延命措置でもあるんですよ」
すでに松坂のイメージアップ作戦にも着手。それがかえってイメージを悪化させることになるとは‥‥。
松坂の去就を巡っては、「阪神に売り込み」との報道をはじめ、台湾紙も「台湾の複数球団に松坂サイドから接触」と伝えるなどしたが、松坂サイドはこれをことごとく否定。夕刊紙には「全てガセ」「売り込んだのではなく、阪神側から声をかけてきた」「台湾移籍話などない」「フェイクニュースだ」という、うぬぼれとも取れる大放言が載った。実はこれをリークしたのが、松坂の意をくんだ友利氏だったという。
「中日は松坂のプライドを傷つけないように気を遣って、なんとか復活美談で盛り上げたいのです。現場も『もし出てきてくれれば、ラッキー』くらいにしか思っていませんが‥‥」(前出・名古屋のスポーツマスコミ関係者)
仮に肩の故障が完治していても全盛期のスピードは期待できず、ツーシームを軸にした、打たせて取る勝負に持ち込むしかない。
「それにしてはコントロールが悪すぎる。セではコントロールの悪い投手は通用しません」(野球評論家)
上野動物園のシャンシャンが空前絶後の大人気だが、松坂も究極の人寄せパンダで終わるのか、それとも実力で復帰マウンドを勝ち取るのか。日米通算164勝を誇るレジェンド右腕が初めてセ・リーグで迎える19年目のシーズンに注目が集まる‥‥。