僧医(僧侶であり医師)・松本照円の活躍を描く伊藤英明主演のドラマ「病室で念仏を唱えないでください」(TBS系)。第1話の視聴率は11.3%と好発進だったが、東出昌大の不貞相手・唐田えりかの「出演自粛」騒動などもあり、第2話以降は10.3%、8.2%、8.1%と徐々に低下。しかし、2月14日放送の第5話は9.0%と復調気配をみせた。
その理由を芸能記者は次のように分析する。
「第4話の一部は児童虐待がテーマでした。最初は義理の父から虐待を受けている小学生の男児に焦点をあてていましたが、後日、病院に担ぎ込まれてきたのは、その男児の姉の小学生。呼吸をするのも苦しい状況の中『お父さんは悪くないから』という言葉を最後に『子宮外妊娠』による大量出血で命を落とす。そこへ悠長に現れた義理の父親が『あいつが誘ってきたんだよ』と発言したため、僧医・松本の怒りが爆発して“鉄拳制裁”を与えてしまう。そして第5話へと続くのですが、人を救うためにある自分の手で人を殴ってしまった──という僧医としての感情の動きがみごとに描かれていたことで視聴率回復につながったのではないでしょうか」
このように「児童虐待」をテーマにする作品は多いが、厚生労働省の調査によると平成30年度の「児童虐待相談対応件数」は15万9850件。前年度より2万6072件(19.5%)増えており、過去最多を更新したという。
社会部記者が話す。
「これは1日平均約600件という、すごい数です。その中で『性的虐待』は1731件。割合としては全体の1.1%と最も少ないですが、1日平均でみれば約5件の相談対応を行っていることになります。約5件といっても長年虐待を受けているケースも多く、『相談1件=1回の被害』というわけではありません。特に『性的虐待』は声を上げづらく、周囲の発見も難しいので、実際の被害件数はもっと多い可能性が高いです」
子どもの虐待をなくすことを呼びかける市民運動「オレンジリボン運動」のウェブサイトでは、個人としてできることに「まずは子ども虐待について正しく知ること」としており、ウェブサイトには思わず胸が詰まってしまうような、まるでドラマのようなエピソードも掲載されている。今回の「病室で念仏──」のケースも決してドラマ内だけの話ではなく「児童虐待の現実」としてとらえ、「児童虐待相談対応件数」が年々減少していく社会になることを願いたい。