今冬より日本代表MF南野拓実が加入したイングランドのリヴァプールの地元紙「Liverpool Echo」が、現在の南野の立ち位置について言及している。
冬の移籍マーケットでザルツブルクからリヴァプールへとステップアップを果たした南野だが、現在までに公式戦の出場はわずか4試合に留まり、目立った戦績は無し。出番を与えられるのは国内カップ戦などがメインで、大一番でのチャンスを得るには至っておらず、2月18日に開催されたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント・ラウンド16のアトレティコ・マドリード戦でもベンチに座ったまま試合終了の笛を聞いていた。
その反面、南野とは1年間ザルツブルクで共闘し、同時期に国外リーグへの移籍を果たしたノルウェー代表FWアーリング・ハーランドは加入したばかりのドルトムントで圧巻のパフォーマンスを披露し、19歳ながらすでにレギュラーポジションを奪取。公式戦7試合出場で11ゴールを挙げるなど、異常なペースで得点を重ね、1月のドイツブンデスリーガ最優秀選手賞にも輝いている。
冬にザルツブルクを巣立った南野とハーランドが対照的な活躍ぶりとなっていることから「Liverpool Echo」は現地記者による南野へのコメントを紹介し、リヴァプールにおける未来を悲観する必要はないと言及。〈ハーランドがあらゆる場面で得点記録を塗り替えている反面、南野のデビューは静かなものだ〉と両者を比較しつつも、〈いつか南野がチャンスを生かして輝く日は必ず来る〉〈ユルゲン・クロップ監督は南野を困難なシチュエーションにおいて起用することを望んでいないし、彼はいつも新加入プレーヤーに対して、まずはクラブのスタイルやプレーのテンポに慣れさせることから始める〉とも綴り、現段階ではクラブのやり方に順応することが先決だとしている。
「ザルツブルクではハーランドに良質なパスをいくつも出して、魅力的なホットラインを形成していた南野ですが、19歳のハーランドはヨーロッパ全土を戦慄させるほどのインパクトを与えており、その立場には大きな違いがあります。早くも世界最高の若手プレーヤーなどと各国のメディアを騒がせると、その市場価値が100億円を超えるのも時間の問題とも謳われ、“怪物““宇宙人““別世界の男“などと様々な異名もとっています。ですが、南野はそんな元相棒の爆発を気にする必要はなく、クロップ監督も、もともと新加入選手に過度なプレッシャーを与えたがらないため、重要な場面ではあえて南野を起用しないようにしているとも考えられます。もちろん毎年のように実力派選手と契約するリヴァプールですから、いつまでも悠長に構えてはいられませんが、まずはザルツブルクとはまったく異なるリヴァプールのプレースピードに適応しなければなりません。現在では不動のレギュラーとなっている最前線のFWサディオ・マネやMFアレックス・チェンバレンもまた、加入当初はそのリズムの調和に苦しみましたから、何も南野だけが特別順応が遅いわけでもありません」(スポーツライター)
南野からすれば、日々新聞のヘッドラインを飾り続ける元同僚かつ後輩でもあるハーランドの存在は無視できないものだろう。とはいえ、まずは新天地のスタイルに慣れ、与えられた時間の中できっちりとみずからの個性を発揮するしかなさそうだ。
(木村慎吾)