ちまたにあふれる加工食品の数々‥‥。「どれを食うのも自分の勝手だ」と思っている読者諸氏がこの本を手に取れば、恐らく戦慄を覚えることだろう。何気なく口にしていた食べ物に、トンデモない“猛毒”添加物が入っていることが記されているのだから──。
「ポテトチップスはカルビー派か、コイケヤ派か?」
「えっ、チップスターは?」
「練り系については、そもそもポテトチップスと名乗っていいかどうか、アメリカで長い裁判が起こったぐらいで‥‥」
こんな具合に本誌連載中のタチバナのように、「めしばな」に花を咲かせる親父たちも多いことだろう。いや、「めしばな」などせずに日々、加工食品を食いまくる御仁もいるだろう。
先頃、そんな親父たちに必読の書が刊行された。「食べるなら、どっち!? 不安食品見極めガイド」(渡辺雄二著・サンクチュアリ出版刊)である。見落としがちな食品成分表示の添加物にスポットを当て、〈食べるなら、こっち〉〈こっちは、ダメ〉と徹底比較しているのだ。しかも、全て商品名は実名で記されている。親が子供に与える食品という観点で書かれているが、自分の胃袋がチクチクと痛くなるような“告発本”なのだ。
例えば、冒頭に記したポテトチップス。同書ではカルビーの「ポテトチップスうすしお味」とヤマザキナビスコの「チップスターうすしお味」を比較している。
むろん、ともに塩分と化学調味料が含まれており、食べすぎには要注意だ。それでも、「チップスター」に〈ダメ〉の烙印を押している。その理由は端的だ。
〈乳化剤が使われていますが、具体名がわからないので不安要素になっています〉と記している。
この乳化剤とは、水と油など混ざりにくい液体を混ぜ合わせるために加えられる添加物だ。
化学合成物質を一切、使わない無添加食品やサプリを製造販売する株式会社「ドクタースマイル」の代表取締役社長で、添加物についても詳しい遠嶋康雄氏が話す。
「天然の乳化剤で使われることが多いのはレシチンです。大豆や卵黄に含まれる成分ですので、体に影響は少ないと思われます。ただ、乳化剤の中には化学合成物質もあります。気の利いた業者ならレシチンを使うのですが、一括表示が許されているので、乳化剤とだけ表示して、何を使っているかは表示を見ただけではわからないのが現状です」
問題は一括表示だけではない。環境問題評論家の船瀬俊介氏はこう話す。
「スーパーで買ったサンドイッチを3カ月間、室温で放置してもカビが生えなかった。強力な防腐剤は入っていないのに、なぜなのか。調べてみたところ、私は表示にあった乳化剤に疑惑の目を向けています。ショ糖脂肪酸エステルという乳化剤があるのですが、法的にこれだけ不純物の規制がないのです。これを使えば、不純物として防腐剤も添加できうるのです」