女子アナたちは誤解されている
──領収書の件で、その人たちにつけいる隙を与えてしまった?
「そういうことだと思います。僕は1つのミスも許されない立場だったにもかかわらず、そういうことをしてしまった。だから最終的には僕の不注意です」
──今は納得している?
「実際に会社を辞めたのは今年の3月ですが、アナウンス職を剥奪された去年の6月の時点で、もう辞めることは決めていたんですね。で、その時はフジテレビを訴えようと思っていたんです。でも、いろいろと調べてみたら、僕が許せないのはフジテレビではなく社内の一部の人間、一部のシステムだということがわかってきた。ところが、日本ではそういう裁判はできないらしいんですよ。訴えるなら『株式会社フジテレビジョン』を訴えなければならない。それがわかった時点で裁判を起こすのは諦めました。でも、会社に残っている後輩たちのためにも第2第3の僕を作るわけにはいきませんから。ブログなどを使って発信していけばいいやと」
──ブログには「オマエたちのやっていることはすべてお見通しだぞ」と詰め寄る回もありましたね。
「彼らが僕のブログを読んでいることは知っていましたから、読者の誰にもわからないけど、本人たちには絶対にわかる書き方をしました。おかげで2人とも今はおとなしくしています。僕を陥れただけでなく、入社前の女子アナの住所や携帯番号を週刊誌に売ったりしていたようです。完全な就業規則違反。もし、これ以上何かやるようなことがあれば倍返しどころか、100倍返ししてやりますよ。残念ながら半沢直樹、見てないんですけど(笑)」
──あ、そうなんですね。ブログを読むと、結構、似ている感じがします。
「他の方にもそう言われて、半沢直樹のキーワードだけ聞くと確かにそうかもと思う部分もあるんですけどね。でも、ドラマですから向こうはもっと格好いいし、僕みたいなダメ社員じゃないと思うんですよ」
──フジ時代には後輩の女子アナに対する暴言が話題になったりもしました。
「演出とはいえ、ひどいことも言ってました。しょく罪の意味も込めて、彼女たち、すごく誤解されてますから、その誤解は少しでも解いてあげたい。皆さん、女子アナは高給取りで、セレブで、夜な夜な合コンを繰り返してると思ってます。でも、実際は全然違います。彼女たちの年収を知ったら安くて相当驚くと思いますよ。暴言とか問題児と言われても、そういう発言はこれからもどんどんしていこうと思ってます(笑)」
──最近は講演会も多いんですよね?
「おかげさまで『テレビの裏側をしゃべってください』ということで、いろいろなところからオファーをいただいています。ピンチヒッターですが、テレビにも復帰させてもらえましたし、実は今回の顛末を書いた本も出版されることになりました。すごくツラい経験でしたが、どこかで“いい経験”と思う自分もいるんですよね。
こんな経験をした人間は僕だけじゃないか。だったら僕にしか紡げない言葉で何か表現できるんじゃないかと。そんな思いがいちばんツラい時期を支えたモチベーションになったかもしれません。アナウンサーですから何かずっと表現していたいし、表現していないとダメなんですよ。きっと変態なんでしょうね(笑)」