谷沢氏の説明を聞こう。
「問題があったから、私たちはクレームをつけた。違反しているだろう、と異を唱えたわけです。不正は(金田体制下では)なかった。今はあるかもしれんけどね。王さんにも問題はあるでしょうね。堀内君も基本的には私と同じような理由です。元に戻ることはないよ」
敢然と名球会、そして王体制への対決姿勢をあらわにするのだが、何がどう問題で、何の不正があるのかについては「釈然とさせるためには、さまざまな説明が必要ですよ」と言って、具体的な説明を避けるのである。
一方の名球会事務局は、
「社団法人への移行当初、王さんと金田さんが話し合いをされましたが、金田さんは『入らない』ということだった。谷沢さんもそう。理由はわかりません。(会員であるとの主張には)名球会は他に存在しませんので、それはないですね」
会員の一人である平松政次氏(65)は、次のように内情を説明した。
「堀内は2年前に退会しましたし、谷沢は退会したというよりも、名球会から辞めていただいた、ということです。金田さんもそういう状態で、辞めていただいたわけです。以前はカネダ企画が仕切っていたし、揉め事がたくさんありました。金田さんが必要以上に(金を)使われていたのが帳面上にも出て。本人は『使ってない』と言われるんですけど。経理問題は今は透明化していますから全て説明ができるけど、以前は表ざたにできないものもあった。名球会はそれを知りながら我慢していたわけです。で、一般社団法人になる時にそういう話をしたら『賛成できない』と。谷沢は社団法人への移行に反対ということはなかったが、名球会のあり方で揉めていたんです。谷沢の言い分と、これからやっていこうという方向性が全然違ってましたんで」
金田氏はやはり金銭問題で、谷沢氏は方向性の問題でと異なるが、つまりは「追放処分」だったというのだ。そして堀内氏については、
「これからの名球会のあり方に賛成できないからと。選挙(3年前の参院選)に出たこととはまったく関係ありません。だから堀内は自主退会です」
そして平松氏はこう言って苦笑するのだ。
「もともとは金田さんが作られた会なのでね、僕も入った時は『好きなようにやってください。応援しますよ』なんて、酒を飲みながら言ってたもんです。お互い投手同士だしね。でも、そういう好きなようにばかりじゃダメだ、と」