50年の時を経ての記録更新となれば、大騒動となるのは必然。だがマスコミはともかく、意外にも、チーム内に祝福ムードは漂っていないという。いったいなぜなのか。
「実はヤクルトナインは皆シラケているんですよ。『アイツなんかに(56号を)打たせたくない』とね」
こう言って苦笑するのはさる球団関係者である。
「何しろ不真面目ですからね。守備練習はほとんどしないし、打撃練習ですらほどほどしかしない状態です。練習をサボって何をしているかというと、クラブハウスでツイッターばかりして遊んでいたり‥‥。もし一生懸命やっていれば、ぜひ記録を抜いてくれと思うもんですが、まったくそんな気配はない」
ツイッター三昧だけでなく、こんなグダグダな光景も目撃されている。
「福岡ヤフオクドームでの対ソフトバンク交流戦(6月12日)の試合前日練習では、同僚のミレッジとずっとしゃべっていました。とにかくずーっとしゃべり続け、そのまま練習せず宿舎に戻りました」(遊軍記者)
にもかかわらず、コーチ陣は何も言わずに本人任せの野放し状態。球団関係者が続ける。
「なぜかといえば、あそこが痛い、ここが痛いと始まるので、ヘタに練習してケガでもされたらマズイということで、腰が引けているようなんです。情けない話ですが」
そうした態度を知るチームメイトは、冷ややかな目でバレンティンを見ているのだ。その声を拾うと、例えばこんな感じで──。
「チームリーダーの宮本慎也を筆頭に、複数の選手が『とにかく練習態度がよくないし、走塁も緩慢だったりするからね。しょせん、最下位チームの本塁打王ですよ』と話していました。アシストしてやろうなどとは全然思っていませんね。また別の中堅選手からは『お調子者でチャランポラン』『アイツ、練習してないから1、2年で終わりですよ。案外、(寿命、活躍期間は)短いよ』と人ごとのような声も出ていました」(前出・球団関係者)
そんな総スカンの助っ人だが、ヤクルトは昨オフ、バレンティンとの契約を16年まで延長。4年7億円の大型契約を結んだが、これにはスポーツ紙デスクも、
「外国人選手は長期契約を結ぶと働かなくなるケースがよくありますからね。それが懸念材料でしょう」
とはいえ、練習をサボりまくってもここまで打てるというのは一つの才能なのかもしれない。