数々の伝説を打ち立てたトップアイドルも五十路に突入。それでも、経産省のエリート官僚との再婚、所属事務所からの独立と、今も公私ともに話題を集める姿は、全盛期と変わらない。だが、輝かしいキャリアで唯一、成し遂げられなかった「伝説」があった。菊池桃子の「あげまんリベンジ」が始まる!
新型コロナの影響で放送休止中のNHK朝の連続テレビ小説「エール」。撮影こそ復活したが、いまだ放送再開の予定はない。やっと主人公が作曲家として羽ばたき始めたところで物語がストップ。ファンは待ち遠しいかぎりだろう。
そんな中、別の視点で放送再開を楽しみに待つ人もいた。80年代のアイドル全盛期に青春時代を過ごしたオトコたちだ。まさに、ドンピシャ世代である芸能ジャーナリストの沖直人氏は、その理由について、
「やはり、我らがアイドルの菊池桃子(52)を見たいんですよね。役どころは主人公、窪田正孝(31)の母親。最近では、すっかり母親や人妻役が板についてきましたが、これまで以上に母性が炸裂しているんです。例えば、家族を捨ててでも再び作曲家を目指そうとする主人公に対して、反対する菊池は『あの子が傷つく姿をもう見たくない』と言うんです。もう心をワシづかみされましたよ。大きな愛で子供を包み込む、この純真さはアイドル時代と変わっていませんよ」
ちなみに、ドラマでは窪田とヒロイン役の二階堂ふみ(25)との間に子供が生まれており、菊池はおばあちゃんになっている。
6月27日に更新された公式ブログで、菊池は自身のおばあちゃん姿を披露。エンジ色の着物を着た白髪交じりの菊池が〈孫の華(はな)です〉と、赤ん坊を抱く撮影中のスチールを公開しているのだが、
「ファンも年齢を重ね、熟女の色香を感じ取れるようになった。菊池が孫を抱く姿を見たところで、ショックを覚えるどころか、将来は自分の隣に、こんな婆さんがいてくれたら、楽しい老後を過ごせるだろうなと思っているはずですよ」(沖氏)
いくつになっても、菊池の「アイドル神話」は不滅のようだ。それほど、菊池のキャリアは鮮烈だった。
84年に映画「パンツの穴」(ジョイパックフィルム)でデビュー。同年4月にシングル「青春のいじわる」で歌手活動を開始すると、4枚目シングルから7枚連続オリコン1位の記録を樹立。
85年に行われた日本武道館でのコンサートは、ビートルズの公演の観客動員数を抜いた。しかも、記録だけでなく、入場できなかった観客1万人超という伝説まで打ち立てたのだ。
トップアイドルであった菊池だが、ウイスパーボイスに代表されるように、控えめでしおらしいイメージがファン心理をくすぐった。それは仕事の現場でも変わらなかったという。ベテランカメラマンがこう証言する。
「当時、おニャン子クラブが出始めて、素人アイドルが隆盛の兆しをみせていた。それゆえ、純正アイドルはプロ意識が強く、ともすれば生意気でした。こちらの注文にケチをつけるなんてのは日常茶飯事。そうした中で、桃子だけは別でした。極寒の撮影だろうとイヤな顔ひとつせずに、笑顔で応じてくれた」
虚像と実像に差異がない。それをファンも知っていたからこそ、熟女の菊池に純真さを感じ取っているのだ。