映画からテレビ、そしてネット配信とメディアは進化しても、女優の美しさを照らし出すという目的は変わらない。表舞台から遠ざかった美貌の持ち主たちの現在を追う。
映画界の風雲児と呼ばれた角川春樹氏が、最後の監督作と宣言して公開するのが「みをつくし料理帖」(10月16日予定、東映)だ。石坂浩二、薬師丸ひろ子、野村宏伸ら、角川氏を支えた顔ぶれが出演しているが、ここに渡辺典子(55)の名前がひときわ目を引く。
渡辺は薬師丸、原田知世とともに「角川三姉妹」と呼ばれ、特に美貌の点では随一と定評があった。だが、ここ数年は事務所移籍を繰り返すものの、女優の活動は開店休業状態。体調面を心配する声もあったが、さすがに育ての親の締めくくり作には駆けつけずにいられなかったようだ。
69年にオンエアされた「Oh!モーレツ」(丸善石油)のCMは日本中に大ブームを巻き起こした。ミニスカが風にめくれる美女を演じた小川ローザ(73)も一躍、スターダムに乗ったが、翌70年2月にはレーサー・川合稔氏と結婚する。
そして小川は運命の激流に身を委ねることになるのだが、まず川合氏が結婚半年後の10月にサーキットの事故で亡くなり、小川も芸能界を引退。失意のままにイタリアに移住し、ここでシングルマザーとなって帰国する。
5年半のイタリア滞在生活でいちばん驚いたことは「現地のコンドームの箱に私の写真が勝手にプリントされていたこと」と後日、明かしている。
ミステリアスな女優として歌にドラマに活躍した高樹澪(60)は、細身に似合わぬ豊満なバストも魅力だった。
「女優になる前の銀行員時代は、1メートルを超えていたと思います。白いブラウスのボタンが何度もはじけ飛びましたから」
こうアサ芸に打ち明けてくれたことも。だが高樹は、03年に「片側顔面痙攣」という難病を経験。女優の仕事はできないと事務所とも連絡を絶ち、清掃業やスナックのアルバイトで生計を立てる。やがて、事務所やファンの熱心な声援と症状の改善もあり、09年に6年ぶりのテレビ出演。また13年にはIT企業役員との再婚も報告した。
現在も緩やかなペースではあるが、女優業も少しずつ再開させている。
深夜番組の「グッド!モーニング」(84年、テレビ朝日系)で、タンクトップ姿で「てん・ぱい・ぽん・ちん体操」を踊って注目されたのが水島裕子(57)だ。同時にグラビアクイーンとしても数多くの写真集をリリースし、さらには「いたずらロリータ 後ろからバージン」(86年)で日活ロマンポルノにも進出した。
「金子修介監督作でしたが、実は日本で初めて『裸エプロン』を披露した作品だったそうです」
水島は、内緒の悩ましい秘話を教えてくれた。現在は子育てと並行し、映画評論や小説家の活動にも励んでいる。
同じロマンポルノ組では、宝塚出身で話題になった朝比奈順子(66)も忘れがたい。初出演は81年の「女教師のめざめ」だが、163センチ、B91・W60・H88のダイナミックな肢体は、スクリーンに存分に映えた。
日活を代表する美人女優でありながら、10年前までサスペンスドラマなどの一般作でも活躍。峰竜太との不倫騒ぎもあったが、その後、体調不良もあり一線から身を引いたままだ。ただ知人によれば「明るさはそのまま」ということらしい。