「早くまた完全試合誰かやってくんないかな…」
1994年5月18日、野球評論家で元巨人の槙原寛己氏が対広島戦で達成、以来いまだに破られていない偉大な記録を振り返り、こう語るのはタレント、スポーツキャスターの長嶋一茂氏だ。
元プロ野球選手、楽天ゴールデンイーグルスでは監督経験もある大久保博元氏のYouTubeチャンネル「デーブ大久保チャンネル」の8月8日投稿回に出演した一茂氏。ヤクルトスワローズで巨人に移籍したのは93年。完全試合はその翌年のことだった。この試合で一茂氏がサードを守っていたことは意外と世間の記憶から遠ざかっているかもしれない。
大久保氏はこの試合をベンチで見守っていた。動画で一茂氏と旧知の間柄という大久保氏は、「あの時、全員が(完全試合から)ノーヒットノーランに変わるなら、カズさんのエラーだと思っていた」と遠慮がない。しかし一茂氏は「俺1人だけそう思ってなかったよ。俺のところに打球飛んで来いと思っていた」と飄々と受け返した。
誰もが守備で緊張する9回表、西山秀二選手をバッターに迎えた。セーフティバントが想定しづらい場面のため守備は深めにするものだが、なぜかボテボテのサードゴロがくることを予感し、前進守備を取ったという一茂氏。その予感は的中し、見事サードゴロに打ち取ったのだった。
そんなエピソードを受けて冒頭に紹介した「早くまた完全試合誰かやってくんないかな…」の発言である。「そうしたらさ、思い出されるじゃん俺?」とスポーツ番組で当の主役である槙原投手と共演するプランまで打ち出し、大久保氏の笑いを誘ったのだった。
ちなみに当時、完全試合には落合博満氏、松井秀喜氏といった錚々たる面々が守備についている。この年、46試合しか出場機会がなかった一茂氏がこの試合に限って出場していたのは、まさに“持っている男”だったと言わざるを得ないだろう。(ユーチューブライター・所ひで)