1992年シーズン途中、西武ライオンズから読売ジャイアンツに移籍した大久保博元氏。93年には4番の座につくこともあり、94年には劇的なサヨナラ本塁打を複数放つなど打撃面で大いに活躍した大久保氏だが、この年の9月10日対広島戦において、三振後に悔しさのあまりバットを地面に叩きつけたシーンはジャイアンツファンにとって今も記憶に新しいところだ。
大久保氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉に、バット叩き割りにまつわる秘話を語っている動画があった。7月11日投稿回のことだが、大久保氏が当時のバット叩き割りには伏線があったのだと真相を明かすとともに、長嶋茂雄監督(当時)のまさかのリアクションについても語っていたのだ。
4、5点差離れて負けていた試合だったと振り返る大久保氏。点差が開いた場合、勝っている側は盗塁をしない等、王道の試合をやろうとの紳士協定があるのだと持論を展開する大久保氏が打席に立った際、初球からフォークが来たという。
思い込みもあろうが、負けているジャイアンツに対して、ストレートで勝負に来るだろうと大久保氏は読んでいたそうで、相手キャッチャーの西山秀二選手に「初球からフォークって何だ!」といちゃもんをつけた。
ところが、西山選手は「それだったらいきますよ」と返されたのだそうだ。ボールを当てに来るとも取れるし、今度こそストレートで来るとも取れる発言だが、結果はフォークで空振りの三振。感情の赴くまま、バットを叩き割りベンチに戻った。
すると、長嶋監督に「おーい!ぶーちゃん」と呼び止められた大久保氏。怒られるのかと思いきや、である。
「良いぞ!」と褒められたのだと驚きを交え大久保氏は語ったのだった。
「引退してから聞いたんだけど、実は長嶋監督がデーブを好きだったのは、闘争心があると。巨人軍のナインは真摯たれって言葉があるから矛盾してるんだけど…」
しかし大久保氏は過去の自分を振り返り、「自分は人様に対して感謝もしてなかったし、オレはオレで成り上がってきたと思ってた。そういうやつには罰が当たるんだよ。バットを叩き割ったとか、それ(罰が当たること)につながるんだよね…」
最後は打撃の際にバランスを崩して転倒し足首を骨折したことが遠因となり引退。過去の自分のあやまちが招いているのではないかと悟りを開いたように語った大久保氏。我々も教訓としたいところだ。
(ユーチューブライター・所ひで)