巨人では4番を務め、横浜DeNAベイスターズの初代監督(大洋ホエールズからの通算では第29代監督)も務めた中畑清氏の代名詞と言えば「絶好調男」があまりにも有名だ。中畑氏が現役だった頃、コーチを務めていた土井正三氏のアドバイスから「絶好調!」とアピールしたことで、積極性を好む長嶋茂雄監督(当時)には、よく試合に起用され、レギュラー定着への足がかりとなったと言われている。
そんな中畑氏が現役引退後、長嶋監督のもとでコーチを務めていた頃の話であるが、中畑氏をして「球史に残る選手交代」とまで言わしめる長嶋監督の逸話が語られる「番組」があった。 巨人でも活躍した元プロ野球選手、大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉、7月12日投稿の〈【絶好調!中畑清】#1 今だから話せる巨人時代の話を暴露!〉がそれだ。
選手として巨人に在籍していた時代に、コーチだった中畑氏を「師匠」と慕う大久保氏に、「コーチと選手の間柄で師匠と言ってる雰囲気ってのは、どうも俺は周りに気を配ったんだけど、お前はずっと一貫して師匠だよね」と苦言を呈するかに見えた中畑氏。するとその後、「どうシショウ(どうしよう)」といきなりのダジャレである。「師匠」と呼ばれる事はまんざらでもないようで、和やかな空気に包まれて、対談は進んだ。
そんな中、先に紹介した「球史に残る選手交代」に話が及んだのだ。
「(大久保氏が)サヨナラホームラン打った次の試合かな…」と中畑氏。出ずっぱりだった大久保氏をリフレッシュさせ、休ませようと長嶋監督始め首脳陣で協議され、翌日の試合はベンチにも入らず、ブルペンでゆっくりしていた大久保氏。ところが選手交代(代打)の際、中畑氏はベンチに入っている代打候補の選手の名前を告げたのだが、それらの名前は長嶋氏の耳には入らなかったようだ。前日のホームランのイメージが強く残っている大久保氏の名前を主審に告げてしまったというのである。
慌てて「デーブ、代打行けるか~!」と、中畑氏は、大久保氏の元に走った、と笑いを誘い、ドタバタエピソードを振り返ったのだった。
話術巧みな中畑氏と大久保氏のコンビは見ていて明るく、楽しい。大久保氏は楽天ゴールデンイーグルスで監督経験もあり、選手、監督の両面からじっくり語り合える2人。ぜひ今後も名コンビの秘話を明かしてもらいたいものだ。
(ユーチューブライター・所ひで)