新潟、小倉、札幌と4週続いたローカル夏の陣3場開催は、今週で閉幕。その掉尾を飾るのは、新潟記念と小倉2歳Sだ。
今年で56回目を迎える伝統ある新潟記念は、3歳上オープンによる芝2000メートルのハンデ戦。ここ4年ほど馬単、馬連での万馬券は出ていないが、人気サイドで決着するのはマレ。ハンデ戦ゆえで、難解な一戦だ。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は8回(馬連で5回)。この間、1番人気馬はわずか2勝(2着4回)、2番人気馬は4勝(2着1回)。1、2番人気馬でのワンツー決着は2回あるが、とにかく簡単に決まりづらい重賞なのである。
今年も顔ぶれは多彩だ。目黒記念2着のアイスバブル、大阪杯4着のカデナ、同6着のジナンボー、七夕賞2着のブラヴァス、そして弥生賞2着、ダービー8着など、この春のクラシック戦線で活躍した3歳馬ワーケアといったところが有力候補として挙げられるだろう。ただ、伏兵陣も少なくなく、いずれの馬が勝っても納得してしまう、穴党でなくとも目移りしてしまうレースだ。
当欄としては、サンレイポケットとピースワンパラディのジャングルポケット産駒2頭に注目したい。
前者はここが昇級初戦で初の重賞挑戦となり、後者は昇級初戦だった前走エプソムカップで7着。見せ場たっぷりの好内容だった。であれば、それが地力強化につながっているはずで、3歳時には青葉賞で3着したこともある4歳馬ピースワンパラディによりチャンスがあるように思われる。
しかしあえて、サンレイポケットに期待を寄せてみたい。こちらは5歳馬。とはいえ、脚部不安で1年4カ月もの長期休養があったため、キャリアはピースワンパラディとほぼ同じ。つまり、まだ肉体的にも若いのだ。
しかも、ここにきての充実ぶりが目立っており、これまで12戦して〈4 3 1 4〉の好成績。将来的な可能性をかなり秘めていそうで、ここではピースワンパラディよりも脈があるとにらんだわけだ。
前走のジューンSはクビ差の辛勝だったが、レース内容がよかった。不良馬場で逃げたアイファーキングズがそのまま粘り切るとみられたが、直線、馬場の悪いインを突いて一気に差し切ってみせたのだ。なかなかできる芸当ではなく、ポテンシャルが高い証拠である。これならオープンに上がってもやれていい。
前走後はすぐさまここに目標を定め、短期放牧でリフレッシュ。1週前の追い切りも軽快かつリズミカルで、抜かりなく調整されてきている。力を出せる状態に仕上がっているとみて、まず間違いない。
厩舎スタッフも「ひ弱な面が消えて、雰囲気が実にいい。相手は一気に強くなるが、そうヒケは取らないと思っている」と、期待感をにじませている。
相手なりに走る勝負根性が身上であり、ハンデは恐らく52キロ~53キロ。であれば、勝ち負けになっても不思議はない。
血統的にみても、まだまだ活躍を期待できる。フサイチコンコルド(ダービー)、エリンコート(オークス)など近親、一族に活躍馬がキラ星のごとくいる良血だからだ。
晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
逆転候補はピースワンパラディだ。エプソムCは7着に敗れたといっても勝ち馬との差はコンマ4秒で、好走と言っていいだろう。
中間は短期放牧で充電。ここを目標に順調に乗り込まれて力を出せる状態に仕上がっている。こちらはホエールキャプチャ(ヴィクトリアM)などが近親にいて、ハンデは恐らく54キロ~55キロ。好走必至だ。