東のメインは根岸S。
距離が1400メートルと短距離馬でも好走可能とあって、ペースがどうなるかが大きなポイント。直線の長い東京が舞台であり、ペースが緩いか速いかで結果はかなり違ってくる。ここを勝って本番も、という馬は決して多くなく、一つの完結した重賞ととらえるべきかもしれない。
まずは過去を振り返ってみよう。馬単が導入されたのが03年。それからこれまでの15年間、馬単で万馬券になったのは5回(馬連2回)。1番人気馬は5勝(2着4回)、2番人気馬は2勝(2着1回)。1、2番人気で決まったのは、わずか1回だけ。簡単に言ってしまえば、大きく荒れることもあるが、おおむね中穴傾向の重賞だ。
ダート戦は芝のそれと比べ、高齢馬の活躍が目立つが、この重賞も例に漏れない。過去15年間で7歳馬が3勝(2着1回)、6歳馬は4勝(2着3回)。8歳馬が2着に頑張ったこともあり、そのへんは頭にしっかり叩き込んでおくべきだろう。
それでは顔ぶれを見てみよう。大きく抜けて強いと思われる馬はいない。力は各馬接近しており、難解なレースである。
高齢馬の活躍が目立つと書いたが、名手ルメール騎手とのコンビになるベストウォーリアは有力馬の1頭ということになるか。
最も多く勝利をあげ、また連対しているのは5歳馬(過去15年で5勝、2着8回)だが、今回のメンバーを見渡して、これといった強力な馬はいない。
ならば6歳馬だろうか。アキトクレッセント、カフジテイク、ノンコノユメ、さらには地方から参戦するブルドッグボスと有力どころが多いが、穴党として狙ってみたいのはブラゾンドゥリス。この馬を断じて軽く見るわけにはいかない。
当初はひ弱な体質ゆえに休み休み使われてきた。そうして大事にされてきたのがよく、一戦ごとに力をつけ、重賞を狙えるまでに出世した。
ノボジャック(JBCスプリントをはじめ重賞8勝)×マヤノトップガン×ナスルエルアラブとダート実績ある種牡馬を配合したうえ、曾祖母がダート競馬の女傑ロジータ(牝馬3冠)という血統馬。近親にもレギュラーメンバー、カネツフルーヴといったダートで活躍した馬が多くいて、文句なしのダート巧者だ。その馬が本格化間近とあっては狙わない手はないだろう。
休み明けを使われつつ調子を上げてきており、前走のギャラクシーS(2着)も見せ場たっぷりだった。相手なりに走る勝負根性が持ち味で、東京コースも得意。さらに言えば1400メートルの距離もベスト。この中間も順調そのもので、頭から狙い撃ちといこう。
シルクロードSは、ハンデ戦。こちらも簡単には決まるまい。高松宮記念を前にして脚を隠す馬もいることを思えば、伏兵の台頭も十分ある。期待したいのは、カラクレナイだ。
GIIフィリーズレビューを勝っており、力は証明済み。しかし、桜花賞4着以降は結果を出せずに終わり、前々走のGIIスワンSを52キロで16着に敗れていることを思うと、ハンデは53キロ止まりだろう。
祖母レッドチリペッパー(重賞2勝)譲りの強烈な末脚が武器の馬。良馬場なら存分に持ち味が発揮されていい。中間は順調そのもの。まだ伸びしろが十分な馬であり、大いに期待したい。
穴はアレスバローズだ。こちらもしまいの脚は強烈。昇級初戦になるが、状態はさらに良化している。大勢逆転があっていい。