フェブラリーSに続くGI第2弾は、高松宮記念。とにかく豪華な顔ぶれだ。
ロードカナロアやモーリスといった“絶対王者”はいないものの、次代を担う候補が多く、目下、群雄割拠の様相を呈している。それが一堂に集うのだから、激しくも見応え満点の競馬になること請け合いだ。
加えて、香港からの刺客ブリザードの参戦もある。昨秋のスプリンターズSでは見せ場たっぷりに差のない5着。この馬も当然、争覇圏内で、馬券的にはおもしろく、かつ難解な一戦と言っていいだろう。
人気は、どうだろう。ここを照準に調子を上げてきた昨年の覇者セイウンコウセイ、前哨戦の阪急杯を勝ったダイアナヘイロー、同じくオーシャンS勝ちのキングハートの名がまずあげられるが、出走各馬の能力は高いレベルで接近、拮抗しており、前記したとおり、なんとも難しい一戦だ。
では、データをひもといてみよう。
馬単が導入された03年以降、これまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは4回(馬連2回)。1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着5回)。大きく荒れることはないものの、だからといって人気どおりに決まりがたく、いわば中穴傾向の重賞と言っていいだろうか。
あと、特徴としては、出走頭数が少ないわりに牝馬が善戦しており、前記したダイアナヘイロー、ソルヴェイグ(除外対象)、リエノテソーロ、レッツゴードンキ、レーヌミノルらの動向には注意を怠れない。
さらに充実期にある5歳馬が圧倒的とも言えるほど活躍している。続いて6歳馬、4歳馬という順だが、過去15年間で7歳馬が2勝、8歳馬も1勝している。峠を越えたからといっても、調子がよければ古馬から目を離すわけにはいかないのだ。
ということで、あらためて顔ぶれを見てみると、意外にも“最強”と見られる5歳勢で“これは”と強調していい馬が少ない。
ここを目標に完璧とも思える状態に仕上がっているのは、昨年の覇者セイウンコウセイだが、なるほど、暖かくなって調子を上げるタイプで、そうであれば2連覇も夢ではない。この馬を中心視するのが馬券の筋と言っていいだろう。
しかし、穴党としては簡単にうなずくわけにはいかない。7、8歳馬でも勝ち鞍をあげているのであれば、まさに満を持して挑戦してきたダンスディレクターを主力に据えてみたい。
癇性が強く、つまり気性が勝っている馬で、状態がイマイチでも勝ち負けしてしまうところがある。そうした気性ゆえ、大事に使われてきたので肉体的な衰えは小さい。
前走は昨年暮れの阪神C。イスラボニータとの接戦に敗れたが、ハナ差の惜敗。陣営は無理をせず、その時点で冬休みを取った。
そのかいあって、きっちりとリフレッシュ。すぐにここを目標に置いて仕上げてきただけに、まず、臨戦態勢は万全と言っていい。
先々週、先週と追い切りの動きは軽快、かつリズミカル。仕上がり状態に関しては文句なし。完璧と言っていい状態にある。
「肉体的にはきわめて若く、年齢を感じさせない。8歳馬と思ってもらっては困ります」
こう言って状態のよさを強調するのは笹田調教師だが、そうであれば、大きく狙っていいのではないか。
とにかく芝の1200メートルはベスト。中京は勝ち鞍がないものの、3度走って【3】【2】【2】着。いずれも僅差で、加えて鉄砲駆けの利くタイプ。走れる条件がそろっていると言っていい。
近親、一族にウイニングチケット(ダービー)ほか活躍馬が多くいる血筋。良馬場条件に頭から狙ってみたい。