新潟、小倉、そして札幌に舞台が移り、本格的な夏競馬が始まる。
その新潟開幕週のメインは、直線1000メートルの電撃戦、アイビスサマーダッシュだ。
今年で18回を数え、どのぐらいのペースで行けばよいか、どこで仕掛けるべきかを騎手たちはすっかり心得たようで、以前ほど荒れなくなったが、それでもまだ不確定要素は少なくなく、全体的に見て波乱含みの重賞と言っていい。
02年に馬単が導入されてから、これまでの16年間、その馬単で万馬券になったのは6回(馬連では1回)だが、この間、1番人気馬が6勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着2回)。1、2番人気馬でのワンツー決着は2回のみ。簡単に人気どおりでは決まらない中穴傾向の重賞だ。
過去17回を振り返ってみてわかるのは、出走頭数のわりに、牝馬の活躍がやたら目立つことである。「牝馬は暑さに強い」と言われるが、その言葉どおり、これまで牝馬が11勝、2着7回と、牡馬を圧倒している。このへんは馬券戦術上、十分心得ておくべきことだろう。
あとは3歳、4歳の若駒がよく連に絡んでいることも知っておいて損はない。
こうしたデータを念頭に置いてみて浮かび上がるのが、レジーナフォルテだ。こいつに大きな期待を寄せてみたい。
前走のテレビユー福島賞(芝1200メートル、1着)は、期待された韋駄天S(芝1000メートル、12着)を凡走したあとの一戦だったが、自己条件とはいえ、見違えるような好内容での圧勝劇だった。
佐藤調教師は、この2走を振り返って、次のように言う。
「韋駄天Sは、妙にテンションが高く、レースでは行きっぷりが悪くて、さっぱりいいところがなかった。ガス抜きができた前走は、この馬らしいセンスのよさを見せてくれた」
前走後は、ここを目標にしっかり調整されており、落ち着き払って好気配。稽古の動きも軽快かつリズミカルで、実にいい雰囲気が漂っている。ならば、持てる力を存分に発揮してくれていいのではないか。
初勝利をあげたのがこの直千競馬で、しかもレコードでの楽勝。3歳時の昨年は条件馬の身で、このアイビスSDで3着と好走している。この馬にとって直千競馬はピッタリの条件と言っていいのだ。
今回は昇級初戦で相手は一気に強くなるが、前走から1キロ軽い斤量での競馬となる。持ち時計も速く、互角に渡り合っていいのではないか。
曾祖母はエリザベス女王杯を勝った女傑タレンティドガールで、ニッポーテイオー(安田記念などGI3勝)など近親、一族に活躍馬が多くいる血筋。よほどの道悪にならないかぎり、チャンスがあっていい。
札幌のメインはクイーンステークス。過去16年、馬単での万馬券は6回(馬連では2回)で、こちらも中穴傾向の重賞と言ってよいが、この間、1、2番人気馬でのワンツー決着は、わずか1回のみ。やはり、下馬評どおりとはいかない。
充実ぶりが目立つ4、5歳馬がよく連対を果たしているが、斤量が軽い分、3歳馬もよく活躍している。狙ってみたいのは、その3歳馬、リバティハイツだ。
桜花賞6着以来になるが、放牧でリフレッシュされてから、ここを目標に丹念に乗り込まれ、臨戦態勢はきっちりと整っている。「重め感はなく、力を出せる仕上がり状態」とは、厩舎スタッフが口をそろえるところ。1週前の追い切りも軽快だった。
折り合い面に不安はなく、初めての芝1800メートルの距離も問題なしだ。
母はイエローリボンSなど米GI2勝馬。古馬相手でも力は決してヒケを取らない。