かつて一世を風靡した天才子役が、女優として再び脚光を浴びている。ただ順風満帆のようにも見えるが、努力を惜しまない16歳の少女が見据える未来は、はたしてどこまで進化するのか──。
今年、高校生となった芦田愛菜は現在、7社のCMに出演し、ドラマやバラエティー番組、映画などに引っ張りだこ。すでに芸歴は10年を超えている。
芦田といえば、10年に日本テレビ系で放送されたドラマ「Mother」で実母から虐待される少女を熱演し、数多くの賞を受賞すると、翌年の同局「さよならぼくたちのようちえん」では日本のドラマ史上、最年少の6歳で初主演を果たした。
そして、同年4月に阿部サダヲとW主演を務めた「マルモのおきて」(フジテレビ系)で大ブレイクを果たすのである。平均視聴率15.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。共演した鈴木福とともに役名の「薫と友樹、たまにムック。」で歌ったドラマ主題歌「マル・マル・モリ・モリ!」が売り上げ50万枚を突破するヒットを記録。その年の大みそかに放送された「第62回NHK紅白歌合戦」への出場も成し遂げた。
芦田が出演するイベントには数多くの報道陣が集まるようになったが、この快進撃は想定外だろう。アイドル評論家・北川昌弘氏が解説する。
「フジテレビも正直、放送前は大きな期待を持っていたドラマではなかったはずです。当時、フジとTBSが日曜日にドラマをぶつけ合っていて、TBSは早々に大ヒットドラマ『JIN-仁-』の続編をやるということで、フジとしては何をやっても分が悪く、半ばなげやりな企画だったと思います。それが結果的に互角に渡り合ったばかりか、フジのあの枠でいちばん成功したと言ってもいいドラマになったわけですからね」
ドラマの大ヒットを牽引した芦田はその後も、ハリウッドデビュー、連続ドラマに続き、映画でも初の単独主演を射止め、女優として階段を駆け上がっていく。
しかし、それだけでは満足しない。小学校高学年になると中学受験を目指し、学業との両立を図るようになった。6年生の夏からは受験勉強に専念する徹底ぶり。結果、複数の難関私立中学校にみごと合格し、その中から慶應義塾中等部に進学する。芦田が通っていた当時を知る、進学塾の生徒の関係者が明かす。
「愛菜ちゃんは小4から都内の大手進学塾『早稲田アカデミー』に通っていました。成績は非常に優秀で、塾のコースの中でもトップクラスに入り、周りはほぼ男の子という状況で熱心に勉強していた。中には『お前、芦田愛菜だろ』とからかう子もいましたが、『違うもん』とやり過ごしていましたね。受験に成功して複数の名門校に合格したことは、塾の貼り出しでわかりました。17年からは塾のイメージキャラクターを務めていますが、芸能活動と両立しながら複数の難関校に受かるくらいですから、まさにうってつけの人選ですよね」
幼き頃から、公私ともに何事も投げ出さない姿勢がうかがえる。