芦田の神童ぶりは、仕事現場でも存分に発揮されていた。民放テレビ局の番組スタッフが語る。
「親御さんの教育のたまものなのか、子役時代から礼儀正しく、挨拶をきちんとして、本当にいい子でした。スタッフからの注文にも嫌な顔ひとつせず対応していたし、空き時間に共演者と談笑する時も、理解力、コミュニケーション能力ともに大人顔負けで、頭のよさがにじみ出ていた。中学生になってからも、スタジオチェンジや休憩時間に共演者の池上彰さんに積極的に質問をぶつけていて、『知的好奇心の塊だな』と周囲を驚かせていました」
中学3年生となった昨年7月には、年間100冊以上を読む読書家として、自身が勧める約100冊の本を紹介する初の著書「まなの本棚」(小学館刊)を出版。
慶應義塾女子高等学校に進学してからも学業は優秀だという。
「オファーの多い芸能活動を続けながら、しっかりと勉強に励んで、トップクラスの成績を維持しています。かつて『将来は薬剤師』と目標を語っていたことがあるのですが、今は『医者になりたい』と軌道修正している。彼女ならば、それを現実のものとしてしまいそうです」(同校関係者)
もっとも、現在の芦田の本分、女優の仕事についても、現在公開中の映画「星の子」(東京テアトル/ヨアケ)で6年ぶりに主演を務めた。
芦田は、娘を思うあまり怪しい宗教にハマッていく両親のもと、過酷な青春に翻弄される15歳の少女・ちひろを熱演している。自身と等身大の難しい年代となる女子中学生役だが、笑い、涙、困惑、怒りなどさまざまに入り交じる感情の起伏を、みずみずしくみごとに表現しているのだ。
「女性としての魅力が増したことにも驚きです。恋心を抱いていたイケメン教師に、頭から水をかぶる儀式に勤しむ両親の姿を見られて泣きながら疾走する場面など、役作りのため髪を30センチ以上カットしたこともあってか、女を感じさせる表情も随所に見られた。部屋で一瞬、上半身が白い長袖Tシャツという姿になるシーンでは、発育した胸の膨らみがかいま見えて、思わずドキッとさせられました」(映画ライター)
16歳となった芦田は「かわいい」から「きれい」への進化段階である。美少女事情に精通するライター・尾谷幸憲氏も驚きを禁じえない。
「子役といえば、容姿が劣化していくという、非常に悲しい状況が生まれることも過去にはありました。しかし彼女は、むしろいい方向に進んでいる。出てきた当時の清楚なイメージを崩さず、16歳の初々しさ、若さの輝きがしっかりあります。我々が想像していた『未来の芦田愛菜』というスタイルを崩していないんです。子役としていきなりみんなの心をかっさらい、一発屋ではなく、よりパワーを発揮していくという意味においては、ギターの革命児だった(エディ・)ヴァン・ヘイレンに近い。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジは年を重ねるごとに演奏がヘタになっていきましたが、ヴァン・ヘイレンはよさを増していきましたからね。愛菜ちゃんはその境地なんです」