少しよくなったと思ったら、またすぐに痛みだし、いつまでたっても完治しない腰痛──。そもそも腰痛に完治ってあるのか? それがあるんです。腰痛専門医で、“なにわのブラックジャック”の異名を持つ「伊東くりにっく」院長が、腰痛治療の真実を明かす。
腰痛は現代人の多くが抱える悩みの一つだ。世界的に見ても日本は腰痛大国で、生涯を通して8割以上の人が一度は腰痛を経験するという。今春報告された厚生労働省の調査でも、腰痛を抱える人は全国で2800万人、40~60代の約4割が悩んでいるのである。
病院に通う患者さんも実に多いが、いつまでたっても完治しない。少しよくなったと思ったら、またすぐに痛みだす‥‥。いわゆる腰痛における無限ループ。
そんなやっかいな悩みを持つ人必見の書、「腰痛は医者の言葉を信じるな!」(ワニブックス)が9月27日に出版された。著者は腰痛専門医「伊東くりにっく」院長の伊東信久氏だ。
“なにわのブラックジャック”の異名を持ち、衆議院議員でもある伊東院長をさっそく訪ねた。
「以前は前髪が長くてね、それで患者さんから自然発生的にブラックジャックと呼ばれるようになりました(笑)。医師会に所属せず、自費診療で手術するのも同じ。ただ、違いはピノコがいないことと医師免許を持ってることですけどね」
応接室で会った伊東院長は開口一番、そう言って笑った。
著作には「腰痛が『完治した!』と聞かないのは、なぜか?」「腰痛医が教える、信頼できる病院、できない病院」「マッサージ、鍼灸、電気治療で治すことができるのか」「腰痛を治したければ『やめなさい』。痛みを遠ざける生活のススメ」「腰痛治療の無限ループから脱却するための手引き」など、腰痛治療の知られざる「新常識」がつづられ、腰痛治療の最善策が明かされている。
「おいしい料理店とか評判のいい美容室とか、全て人ありきでしょ。医者も同じ、治すのは人です。医療技術とコミュニケーション能力、この両方のバランスが大事なんです。外科医であれば、職人としての腕、経験値や知識はもちろんですが、患者さんとの対話でどれだけきちんと返せるか。医者は『あれ?』と思ったことはやらず、ごまかしますからね」
国会議員になったのも医療改革をやりたいという思いからだが──、
「僕は医者に批判的な意見ばかり言ってますから、他の医者からは疎まれていますけどね(笑)」
伊東院長によれば、まずは「信頼できる病院選びから始める」こと。飲食店と同じで、掃除が行き届いているか、トイレはキレイかなど、“見た目”からも判断できるし、経営難の病院より儲かっている病院を選ぶべきだという。
「僕は、患者さんを待たすんですよ。1人の患者さんと接する時間が長いから。それでも、予約がどんどん入る。待たせるのが申し訳ないので、待合室のソファもキレイにして、寝転がれるようにしたんです」
院内を見渡すと、確かに内装なども含めて、患者本位に造られていた。
◆プロフィール 伊東 信久(いとう のぶひさ)1964年生まれ。整形外科医。神戸大学医学部、大阪市立大学大学院医学研究科卒業。伊東くりにっく院長。「Dr.イトー」の愛称を持つ。日本維新の会所属の衆議院議員でもある。