情交シーンの主役は女優である。ただ、相手となる俳優がいなければ成立しないのも事実だ。あぁ、一度でいいから、俳優になってみたい…。日本で最もうらやましがられるオトコはいったい誰?
「故・三國連太郎が『前張りナシで本番をしようとした』という都市伝説があります」と話す芸能ジャーナリストの沖直人氏は、その伝説の意味をいいように解釈すれば、情交シーンに「リアルさを求めていた」ということであると指摘し、「それほど昭和の映画界は活気があったということでしょう」と分析する。
かつての映画界でベッドシーンにおける「帝王」と呼ばれる俳優もいた。18年に亡くなった津川雅彦だ。
前出・沖氏によれば、「若い頃は二枚目を地でいく役柄が多かった」津川だが、「30代以降は人間臭い役柄を演じることが増え」て、まさに「ベッドシーンといえば津川」のような存在になっていったという。
その経歴をたどると、多くの傑作ベッドシーンが存在する。81年の映画「マノン」(東宝)では、烏丸せつこの豊かな胸に顔をうずめた。さらに「墨東綺譚」(92年、ATG)で墨田ユキを相手にバストトップを舐め回す。特に結合場面は「本当に疑似なのか」と思わせるほどだった。津川の円熟したベッド演技はそれほど迫真力に満ちていた。
そんな帝王亡きあと、二代目を継承したと言われるのが奥田瑛二。森下愛子に始まり、かたせ梨乃、荻野目慶子らのバストトップを味わい尽くした。吉本多香美を相手にベッドシーンを演じた「皆月」(99年、日活)では、冴えない会社員役で吉本に翻弄されながらも、野獣のように貪る情交シーンまで披露した。
さらに「新・雪国」(01年、ケイエスエス)では、笛木優子の唯一のバストトップフルオープンのベッドシーンで相手役を務めた。この作品について前出の沖氏は、奥田は、笛木の「小ぶりながらも、ピンクな」バストトップを「背後から何度も包み込むようになで上げて」、最後ははずかしめるように「対面して唇をはわせる」という。これほどねちっこいベッドシーンになったのは、「奥田の技量があったればこそです」と語る。
現状、奥田に若手俳優の追随を許す気配はない。今後も女優たちのバストトップを舐め、吸い続けることになりそうだ。仕事とはいえ、やはりうらやましいかぎりだ。