国民的アイドルグループを卒業し、華麗に女優として飛躍。1児のママとなっても、快進撃を続けている。大河出演を果たすや、返す刀で朝ドラのヒロインも射止めて見せた。かつては「おバカキャラ」なのだとばかり思っていたのだが──。
今秋放送スタートとなるNHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」は、昭和から令和へ3つの時代にわたり、ラジオ英語講座とともに生きた祖母、母、娘という3世代の100年に及ぶ家族の物語を描いたハートフルコメディーだ。ヒロインが3人という朝ドラ史上初の試みで、川栄李奈(26)、深津絵里(48)、上白石萌音(23)が主演に抜擢されたのだ。
川栄と上白石は3000人を超えるオーディションを勝ち抜いてのものだが、
「川栄にとって朝ドラは16年放送の高畑充希主演『とと姉ちゃん』以来です。AKB48在籍時の14年頃から女優業を本格化させていますが、朝ドラヒロインのオーディションは当時から受け続けており、悲願でした。6度目の挑戦で、ついに念願となるヒロインの座を勝ち取りました」(スポーツ紙芸能デスク)
この間、川栄は女優として確実にステップアップしてきた。19年にNHK大河「いだてん~東京オリムピック噺~」をはじめ、4本のドラマ、3本の映画に出演。産休を経た昨年も連続ドラマ「#リモラブ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系)や映画「ステップ」(エイベックス・ピクチャーズ)などで存在感を見せつけた。
「今年に入ってからも現在フジテレビで放送中の連続ドラマ『知ってるワイフ』に加え、2月14日にスタートしたNHK大河『青天を衝け』で草なぎ剛扮する徳川慶喜の正室役が話題となっている。結婚、出産を経験して、ますます女優としてパワーアップした観があります」(スポーツ紙芸能デスク)
人妻ママ女優にして異例の朝ドラヒロイン抜擢、それも納得という見方が業界内の大勢を占めている。
川栄の女優ロードは15年のAKB卒業後、すぐに舞台「AZUMI 幕末編」で主演を務めると、その後も立て続けに数多くのドラマ、映画に出演し続けた。
演技力が高く評価され、18年には「恋のしずく」(ブロードメディア・スタジオ)で、映画初主演を果たしている。
一見、誤解されがちだったが、芸能ジャーナリストの竹下光氏は、川栄の女優としての魅力をこう語る。
「AKBの頃は『おバカキャラ』ばかりが注目を集めていました。しかし撮影現場では、セリフ覚えがよく、監督からの演技指導もすぐに理解し、演じる役柄にピタッと順応できることから『頭のキレる女優』として評判でした。アイドル時代に出演していたバラエティー番組では『AKBのウソ泣きクイーン』などとイジられ、おバカとしての認知度が高まるばかりでしたが、仕事ぶりを知る周囲は、キャラ自体は演じているもので、ウソだと信じていました」
だとすれば、当時から相当な演技力の持ち主、天性の女優だったと言えようか。
「加えて、主役から脇役まで幅広いポジションの役柄を悪目立ちすることなく演じられるのも特筆です。このあたりは、TPOによって立場が変化するグループアイドル時代の経験も活きているのでしょう。彼女は劇場公演やコンサートで、MCや先輩メンバーの会話の流れを読み、自然な形で話に加わるのを得意としていましたからね」(竹下氏)
アイドル時代から、オブラートに包んだ女優の素養が垣間見えていたようだ。