広島東洋カープで活躍した元プロ野球選手、達川光男氏。2017年、18年と福岡ソフトバンクホークスの一軍ヘッドコーチに就任。現在、ソフトバンクで正捕手を務め、20年の対巨人との日本シリーズでは2本塁打を放ち打撃面でも日本一に大きく貢献した甲斐拓也の育ての親と言っても過言ではない存在だろう。
そんな達川氏が、元プロ野球選手、池田親興氏のYouTubeチャンネル〈たかほー 池田親興のちかチャンネル!〉に出演。92年に現役引退した達川氏を、球界復帰させたのは95年から福岡ダイエーホークス監督に着任した王貞治氏の要請だったことを振り返る中、王氏の人間的な魅力についても明かした。
去る2月27日に〈王さんが見逃がしたらボール?だった?〉とタイトルがつけられた投稿回を観てみると、現役選手として戦った王氏とのある試合に話はさかのぼる。
王氏の打席。ツーナッシングで次のボールがシュート回転で「ド真ん中に来た」と振り返る達川氏。しかし審判の判定は「ボール」。達川氏が不服を唱えたところ、「王さんがド真ん中のストライク見逃すわけないだろ!」と返されたのだとか。後日、ホークスで監督とコーチの関係性になった達川氏が王氏に「あの時のボールは入ってましたよね?」と聞いたところ王氏は覚えていたようで、「達川君、少し低かったと思うよ」と返答。つまりは、誰も傷つけぬよう、審判の顔を立てた発言で、凡人なら「あれは入ってた」「儲かった」と考えるところだと、王氏の人間性の素晴らしさを達川氏は称えたのだった。だとしたら、「低かったと思うよ」は、王氏の“神発言”の一つであったとも言えよう。
工藤公康監督のもとで、昨年「V4」を成し遂げたホークス。王氏の人間性が積み上げた末の功績なのかもしれないと思わせる興味深い回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)