3月6日土曜日の阪神競馬場。レース後の検量室には、昨年に史上8頭目の「無敗の三冠馬」となったコントレイルを預かる矢作芳人調教師の姿があった。
傍らに立つのは同厩舎に所属し、ジョッキーとしてデビューした古川奈穂(20)。パトロールビデオの映像を真剣に見ながら、矢作師の身振り手振りを交じえた熱心な指導に、真剣な面持ちで耳を傾けていた。
それもそのはず、この日の古川の乗鞍は5レースで、最高着順が8R(4歳以上2勝クラス・芝2000メートル)の5着。残りのレースは掲示板に乗ることすらかなわなかったからだ。デビューの余韻に浸る余裕はないのだろう。
一方、小倉競馬場でも、新・師弟コンビが、レース後の入念な反省会を行っていた。高橋康之調教師と、古川と同時にデビューした永島まなみ(18)である。
永島の初騎乗は小倉2R(3歳未勝利・芝1800メートル)。4着と健闘したものの、これが同日騎乗した3レースでの最高成績。各レースごとに映像を見返し検討を繰り返したが、馬券に絡めず、悔しそうな表情がありあり。師匠がその場を離れても、ノートに反省点を細かくメモしていた。
この日デビューの2人は、中央競馬では藤田菜七子(23)以来、5年ぶりの女性騎手。競馬学校在籍時から、ファンや関係者に知られた存在だった。
悔しいデビューに終わった愛弟子に、互いの師匠は叱咤激励を送っている。この日の古川に対する矢作師の採点は「30点」、高橋師の永島への採点は「40点」となかなかの辛口。しかし、若きヒロイン2人はそれを発奮材料にしたようだ。
「古川は3月13日の阪神6R(3歳1勝クラス・芝1600メートル)で厩舎の先輩、坂井瑠星騎手のお手馬・バスラットレオンで初勝利。永島も翌14日の中京2R(3歳未勝利・ダ1800メートル)で逃げ切りに成功し初白星を挙げました」(専門誌トラックマン)
先輩の藤田はJRAデビュー戦を2着と大健闘したが、実は初勝利までには1カ月以上を要している。3月16日発売の週刊アサヒ芸能3月25日号では、「藤田菜七子越え」を期待される新ヒロイン2人の素顔から「狙える馬券」までを徹底的に誌上審議する。