3月6日、女性騎手が2人、5年ぶりにデビューする。永島まなみ(18歳、栗東・高橋康之厩舎)と古川奈穂(20歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
残念ながら無観客でのデビューとなるが、藤田菜七子の成功で注目度は高い。そこで、期待も込めて今後を占ってみよう。
「藤田はデビューした年に6勝したので、ひとまずそれをクリアできるかが非常に重要です。超えられないようだと、先々不安。というのも、19年3月から女性騎手は平場において斤量面で優遇されているからです。50勝以下の見習い騎手は男性が3キロ減なのに対し、女性は4キロ減。また、見習いを卒業しても永続的に2キロ減で騎乗することができる。これは藤田のデビュー時と比べると大きなメリット。それだけに、最低でも7勝はしたい」(スポーツ紙・競馬記者)
当然のことながら、2人とも斤量面で優遇されていることを意識している。永島が「減量の恩恵を生かして、積極的な競馬をしたい」と言えば、古川も「スタートを決めて前々で競馬をしたい」と述べているのだ。
成功するためには周囲のバックアップが欠かせないが、その点では、昨年リーディングを獲った矢作厩舎に所属している古川のほうが有利と言える。
矢作厩舎といえば、馬の出走回数が多いことでも知られるので、騎乗機会も少なくはないだろう。幸いなことに、厩舎の先輩・坂井瑠星はサウジカップからドバイ国際競走へと向かい、不在。その分、古川へ騎乗機会が回ってくるはずだ。騎手候補生時代に模擬レースを連勝した力を、存分に発揮する絶好のチャンス。矢作師も「まずはスタートの巧さを生かして頑張ってもらいたい」と語り、楽しみにしている。
一方の永島が所属する高橋厩舎は、通算77勝という開業8年目の厩舎。これまでの年間最多勝利は開業2年目の15勝で、厩舎力自体はたいしたことはない。ただ、初弟子を抱えたことで、厩舎全体に闘志がみなぎっているようだ。
「高橋調教師は以前からたびたび競馬学校に足を運び、直接アドバイスしていました。厩舎には女性スタッフが3人いて、後押ししてくれる。所属馬の多くが個人馬主なので、協力を得るのも難しくないはず。藤田にDr.コパという気概のある馬主のバックアップがあったように、永島にもそういう馬主が付いたらしめたものでしょう」(前出・競馬記者)
果たして2人は“第二の藤田菜七子”になれるのか。その結果は、夏の終わり頃にはハッキリすることだろう。(競馬ライター・兜志郎)