元プロ野球選手の権藤博氏といえば、中日ドラゴンズに入団した1961年に35勝、62年に30勝でデビューから2年連続最多勝を獲得。2年連続は故・金田正一氏、江川卓氏、斎藤雅樹氏らに並ぶセ・リーグ最長タイ記録という功績を残した。さらに監督としての手腕もみごとなもので、98年には横浜ベイスターズを日本一に導いている。
元プロ野球選手・大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉に、横浜一筋15年、93年には最多勝にも輝いた野村弘樹氏が出演。優勝した98年を振り返り、権藤監督の人を魅了する話術について語った。
3月28日付けで〈第三話 横浜を日本一に導いた権藤監督の話術〉と題し公開した投稿回を観てみると、野村氏は開幕3戦目での登板だったことを振り返っている。権藤監督は「2連敗しても3戦目は絶対に勝たなあかん。1勝1敗でも勝たなあかん。2連勝しても3連勝せなあかん」と、つまりは3戦目が一番重要だと説いて野村氏をマウンドに送り出したそうだ。
「話術かなとも思ってるんですよ」と、薄々察しつつも納得して試合に臨んだ野村氏。ところが野村氏の記憶で7回に同点ホームランを打たれ、権藤監督がマウンドに…。てっきり交代かと思いきや、「野村、この試合お前にくれてやる」と権藤監督。結果、野村氏は意気に感じて9回まで投げ、10回にはサヨナラ勝ち。野村氏はシーズン13勝を挙げ、日本一にも貢献した。
引退後、野村氏は当時を振り返り、「ピッチャーとしてあんな嬉しい言葉ないですよ」と権藤監督に声をかけたところ、「オレはあれが言いたくて監督やったんや」と口にしたそうだ。
チームを日本一に導いた権藤監督の男気な発言が拝聴できた今回、大久保氏には当時の心境を権藤監督にも訊ねてもらいたいものだが、はたして…?
(ユーチューブライター・所ひで)