どーやら、11月24日に東京競馬場で行われる、中央競馬「秋の目玉GI」であるはずのJCこと「ジャパンカップ」がとんでもないことになりそうだ。
えっ、とんでもない? てことは、大荒れするってこと?
いやいや、誤解される書き方で申しわけない。ある意味、それどころじゃない事態なのだ。出走を表明している馬がほとんどいないのである。ほとんどいないは言い過ぎかもしれないが、とにかく“ふさわしい”馬がほぼ出ないのである。主役になりそうなのが今年の宝塚記念を制したゴールドシップ、そして去年の覇者ジェンティルドンナ。現時点ではこの2騎の“マッチレース”という構図で馬券妙味ナシ。はっきり言ってどう盛り上げていいのか「冷や汗」ものだ。
「この秋はフランスで行われた凱旋門賞に、古馬の代表格オルフェーヴルと3歳最強のキズナが出走し、かなり注目を集めました。つまりは、競馬にさほど興味のない人にも『この2頭が今は強いんだ』というイメージが持たれたはずなんです。昨年は凱旋門賞帰りのオルフェがJCに出走、ジェンティルドンナに敗れるというドラマがありましたが、今年は凱旋門賞帰りのこの2頭が不出走を表明。ならばと期待された、キズナの最大のライバル・エピファネイアまで回避と、売り上げを伸ばすことが至上命令のJRA担当者なら左遷ものの事態ですよ」(競馬専門誌ライター)
では、なぜこんなショボイことになったのか。
「今年に始まったことではありませんが、目先の売り上げのためにGIを増やし過ぎたツケですね。秋に3歳牝馬の秋華賞、牝馬全体のエリザベス女王杯、3歳牡馬の菊花賞、さらに古馬と3歳混合の天皇賞・秋、それからJCという流れですから。しかも、ここに近年は凱旋門賞というビッグレースまで入ってきた。さらに、年末には有馬記念もある。有力馬に出られるところは全て出ろというのは酷な話で、その反動が今年は一気に出たということでしょう」(前出・ライター)
しかも、JCといえば外国馬の出走もウリのはずなのだが‥‥。
「今年はまったく注目に値する外国馬もいません。これはやはり、フランスの凱旋門賞、アメリカのブリーダーズカップから臨戦するには間隔が短いということも原因。しかも、12月に香港でビッグレースがありますからね。海外の有力馬はほとんどそちらに出走するんです」(前出・ライター)
わかってはいたが、もはやJCは存続の危機というわけだ。血統評論家の亀谷敬正氏にこの話題をぶつけてみた。
「乱暴な言い方をするなら、もうJCなんかやめてもいいんじゃないですか(笑)。外国馬が来ないのは、日本馬は中距離では圧倒的に強いから。無理やり参戦しても日本で開催する芝2400メートルのレースで日本馬にかないっこないからですよ。今週末のエリザベス女王杯に出走するデニムアンドルビーでも勝てる可能性ありますね。ようは、どっちかのレースをやめてまとめちゃえばいいと思いますけどね。そしたら、牡牝混合でしかも古馬VS3歳の決定戦として盛り上がるでしょう。たぶん、JRAがレースを減らすことは絶対にないでしょうけど(笑)」
亀谷氏は気楽に笑うが、この意見に賛成の競馬ファンはきっと多いはずだ。