テレビは「想定外」の部分にこそ楽しみがある。ドラマやバラエティ番組で、放送事故寸前まで世間を震わせたエピソードを、丹念に拾い上げてみよう。
まずはドラマ部門から。今なお再放送もソフト化もなく、至宝映像の決定版と呼べるのが「悪魔のKISS」(93年、フジテレビ系)で常盤貴子が魅せたワンシーンだ。芸能評論家の織田祐二氏によれば、第3話でカード地獄に陥った女子大生・茉莉子(常盤)は、性サービス嬢になって「惜しげもなく」ロケットバストを披露。「客役の寺脇康文に胸を揉みしだかれます」と振り返る。何でも、寺脇もノー肌着で来るとは思わなかったと驚いたようだとか。当時、常盤はインタビューで「茉莉子の役は誇りに思ってます」と意味深に語っている。実際、それまで無名だった常盤は一躍、注目の女優となった。本作は演出が厳しい監督だったようで、根性をバストトップで表したとも言われている。
今や地上波のドラマでマッパシーンは絶滅危惧種となったが、その最後の一矢と呼べるほど過激だったのが「失楽園」(97年、日本テレビ系)だ。
川島なお美(享年54)と古谷一行の愛欲シーンは、最高視聴率27.3%の原動力となり、最終回では「合体したまま毒ワインで昇天」という禁断のシーンに。絶命する瞬間、川島のバストトップがピンと勃っていたというのも女優根性か。さらに「前張りはしません」の決意で撮影を敢行したことも評価された。
遠藤憲一の初主演ドラマ「湯けむりスナイパー」(09年、テレビ東京系)では、ひなびた温泉宿が舞台である。第6話「お忍び旅行」では、有名俳優と不貞相手(@YOU)が野天風呂で一戦を交えている。この場面は、深夜ドラマとはいえ、ほぼ完全に「バックから合体」している姿がオンエア。女優の爆裂バストが揺れまくり、悩ましい声を上げ、まるで艶系ビデオのワンシーンを見るようであった。演出はのちに「モテキ」(11年、東宝)で大ヒットを飛ばす大根仁氏だが、さすが長澤まさみの胸揉みシーンを実現させた人物だけのことはある。
「14年に壇蜜の初主演ドラマとなった『アラサーちゃん』(テレ東系)は、サブタイトルに『無修正』の文字が入っただけあって、かなりの問題作」と織田氏。織田氏によれば、手で胸を隠しながら、艶系ビデオさながらの激しい馬乗り合体でファックで悶絶し、かなりの話題になったという。放送コードの限界に挑んだ名場面と言えよう。
ここからバラエティに目を転じれば、フジテレビ土曜8時の看板だった「めちゃ×2イケてるッ!」(96~18年)の人気コーナー「爆烈お父さん」では、加藤浩次がアイドルや女子アナをジャイアントスイングでブン回す荒業を見せた。
このコーナーで最大級のアクシデントを起こしたのが、「パイレーツ」でブレイクした西本はるかだった。もともと胸元が開いた衣装だったが、加藤の激しい回転が加わって「バストトップが見えたんじゃ…」と、視聴者をザワつかせる大騒動になった。
グラドルという言葉を世に広めた優香は、デビューした98年に初めて激艶な“洗礼”を受けた。ビートたけし司会の人気番組「スーパージョッキー」(日テレ系)の1コマである。「水着に生着替えをして入る『熱湯コマーシャル』が人気でしたが」と振り返る織田氏に寄れば、何と、優香は司会の山田まりやに触られ、バストの洗い方の実演までさせられて「7分もの間、胸プルプルの状態」だったという。
「最初から水着なのに別の水着に生着替えさせられるという演出だった。日曜の昼間から当時17歳の女子高生だった優香をここまでイジるのだから、いい時代でしたね」(織田氏)
意外なところでは、女優の山口智子がひと肌脱いだことも。自身の企画・出演・プロデュースによる「手わざの細道」(07年、テレ東系)では、織田氏によると、“ノー肌着主義”と言われる山口が、番組で着用していた薄手のタンクトップ越しに、バストトップの“胸ポッチ”が「画面にはっきりと映りました」というような場面があったのだとか。どこかで映像を探してみてはいかが?