元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
7月4日に投開票された東京都議選の投票率は過去2番目の低さで、なんと42.39%。前回の都議選より8.89%低かったのですが、なぜ半数以上が行かないんだろう、と不思議な気持ちです。「小池劇場は結局、何もやってくれない」「やっぱり緑のタヌキやん」と怒っている。にもかかわらず「選挙? 行かなかったよ。どうせ誰がやっても同じだから」と口々に言う。コロナ禍で政治不信もマックス超えと想像できますが、自分が投票することで、あの無免許議員を落とすことができたかもしれないのに。まぁ、消極的な都議選ではありましたが、自公の過半数割れは、ある種の政治不満爆発の表れだったのでしょうか。
さて、そんな政治の不満ばかり言うくせに選挙には行かない、積極的に政治に参加しようとしない日本国民に対しての書籍を上梓しました。題して「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」です。現在、僕は経営コンサルタントをしていますので、政治家に文句タラタラの経営者に、本当に数多く出会います。
こんな事例がありました。葬儀関係の経営者Aさんが「葬儀関係はアナログすぎて、国はほんとにダメだ。政治家は何も考えてない。これからもっと力を入れないといけない分野なのに」と、まさに不満の嵐。収拾がつかないので「いやいや、これからはデジタル庁が動き始めますから、きっと変わっていきます」となだめながら、これは内情を調べるしかない、と思った矢先‥‥。なんと「死亡診断書をデジタル化する方向」というニュースが出たのです。そうか、そんな動きがあるのなら担当している議員に話してみようと、その議員に相談したところ、デジタル庁の前身は内閣官房だからと、内閣官房へ繋いでもらいました。さっそくアポを取り内情を説明すると、あれよあれよと現場の声を吸い上げてくださり、現在、Aさんは快く政治に参画しています。
国会議員は国民の代表であり、多くの民間人からの意見を広く収集し、応える義務があるのです。敷居が高くて、遠い存在のように感じている政治家でも、恐れることなくアプローチをすれば、何かしらの助けにはなってくれるものです。
って、キレイごとを言うな、と思うでしょう。どうせ国会議員なんて自分のことしか考えてないんだから。選挙のことばかりで、国民のためになんてポーズの一環だ、と。それも真理です。でも選ぶのは有権者だし、利用できるものなら、むしろ利用した方がいい。文句ばかり口にしても、政治はいい方向に進みません。そりゃ、ダメな政治家の悪口を忌憚なく述べる井筒監督には「よくぞ僕らの不満を代弁してくれた!」と、スカッとして溜飲が下がりますが、井筒監督が政治を変えてくれることはありません(たぶん)。井筒監督に政治で改善してほしい点をメールしても返ってこないかもしれませんが、議員の活用を試してみる価値はあります。それには不満ではなく陳情を、ウェブサイトから送ってみることです。
まずは自分の選挙区の議員が誰なのかを把握することからおススメします。そんなことを著書に記していますので、興味がございましたら、ぜひ一読してみてください。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京都出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て12年に国会議員に。16年に辞職し、経営コンサルタント。6月30日に著書「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)を上梓。