元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
臨時国会が始まりました。今回は、国会期間中の議員たちの生活がどう変化するのか、まずはそこからお話ししたいと思います。
国会議員は、国会開会中と閉会中で働き方が異なりますが、そこでよく使われる言葉が「キンキカライ」。「金曜日に帰って、火曜日に来る(金帰火来)」の略ですが、要は「金曜に地元へ帰り、本会議のある火曜日に永田町(国会)に戻ってくること」を指しています。
まさに地元視点から生まれた用語ですが、ここでいう地元は、出身の選挙区となります。地元が北海道や九州などの遠方であれば「キンキカライ」が成立しますが、東京から近い「地元」を持つ議員にとっては「キンキカライ」なんて、そう甘いもんじゃない。水曜だって木曜だって、ましてや地元から戻ったばかりの翌日の火曜日にしたって常に地元の会合へと駆けつけ、終電で戻ってきます。つまり、毎日帰って毎日来る「毎帰毎来(マイキマイライ)」なんです。なんだかカタツムリの名前のハワイ語みたいな感じですが、これは僕の造語。
議員時代の僕はほぼ「マイキマイライ」でした。僕の地元は、東京から新幹線に乗って2時間強で行ける京都。遠いようで近い「東京からは帰れない距離じゃないでしょ」という中途半端な位置にありました。ヘタすれば、朝行って深夜の寝台列車で戻ってくることもできます。「サンライズ出雲・瀬戸」という寝台列車なのですが、「いつか乗ってみたい寝台列車ランキング」上位なのをご存じでしょうか。いや、いつか乗ってみたいなんて、とんでもない(笑)。ホント、国会中はヘトヘトで、寝台列車で優雅に眠りながら夢なんて見られないんですから。
と、いかに議員時代の僕が大変だったかをわかってほしい、ということが今回のテーマではありません!
それこそが議員の仕事。地元での草の根活動はいわば議席確保のパフォーマンスでもありますし、大変なのは自分のため。そこまでは想定内ですが、僕が考えるのは、国会ってそもそもあの形じゃなくていいのではないか、と。
というのも、実は法案は与党の事前審議で8割方決まっていますし、国会で話し合う段階で、決済処理は形骸化しつつあります。いくら野党がワーワーと野次を飛ばそうが、世論の大幅な反対(最近はけっこうありますよね)がないかぎり、基本的には通過してしまいます。今臨時国会では、政府提出の新規法案・条約は10本に絞られたといいますが、国会に提出されている時点で、ほぼほぼ決まっているのです。
平たく言えば受動的な国会で、眠気に負けてウトウトする議員が出現するのはしかたないこと。だったら、国会で密になって集まるなんて空虚です。もちろん法案以外の問題もありますので、全て閉会しろとは言いませんが、せめて期間を縮める、それ以外はリモート会議でいいのではないでしょうかね。それこそ「URL」が送られてきて「賛成ですか? 反対ですか?」というボタンをポチッと押す。そんなスマートなシステムへと移行できたら、きっと平井卓也デジタル改革相も、ワニの動画を見ていることをあそこまで非難されないでしょう。
まずはデジタル国会でいかがでしょうか。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。