元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
「呪われた東京オリンピック」、真っただ中ですね。オカルト好きの間では「これはもうツタンカーメンの呪いと同じ。かつて新国立競技場あたりを所有していた紀州徳川家の祟りだ」と話題になっていました。工事中、敷地から人骨が187体掘り出されましたね。由緒ある墓場に競技場を建ててはいけない、ということのようです。
そんなホラーなオチも好きですが、事実関係をざっとおさらいしますと、発端は安倍前総理による「福島原発事故の汚染水はアンダーコントロールできている。日本は安全だ」という発言。問題なしという旗を掲げ、滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」アピールで開催を勝ち取りました。その後、お二方ともに運気低迷。安倍さんが再び難病になり、クリステルさんは夫の運気を下げ、いや、夫の活躍が見込めない感じに。
新国立競技場の改築に至っても、ザハ・ハディド案は白紙撤回を余儀なくされて、ハディドさんはお亡くなりになりました。
続いて五輪エンブレムはパクリだということで差し替え、招致活動をめぐる裏金賄賂問題も騒がれました。年初には、森元総理の女性蔑視発言が大波紋を呼び、組織委員会の会長を辞任。
そして開幕直前に、トドメの一撃です。開会式で音楽を担当する小山田圭吾氏が、学生時代に知的障害のあるクラスメイトに対して激しいイジメを繰り返していた、という事実が発覚。いやぁ、小山田氏の問題は媒体側のリテラシーの欠如もありますね。あんな文章、載せますか。小山田氏の人格が破綻しているにせよ、「イジメ紀行」などというタイトル、つけるんですか。しかもあのヒドイ内容です。
開会式前日になっても、演出の小林賢太郎氏(元ラーメンズ)がユダヤ人大量虐殺問題をネタにする不適切動画の存在発覚で解任されました。
オリンピックの悲劇、長くなりました。そんなこんなで今回の開催は圧倒的反対の世論を押し切ったゆえに、やっぱり盛り上がりません。
ちなみに永田町の面々は、そんなオリンピックには関わりたがっておりません。「そもそも議員はやることがないし、議員特権でスペシャルに観戦できる、というわけでもない。結局、無観客になっちゃったし、安倍さんも自宅で見るっていうし、俺らもおウチで」という傍観のスタンスです。「ここまで来ちゃったから、あとは終わるのを待つのみ。こうなったら、みんなで応援してあげましょうよ」という意見が多いのです。
ちなみに僕は、どっちでもいい派でした。やってもやらなくても。でも小学生の頃、水泳の鈴木大地選手が金メダルを獲得したシーンを見て心底、感動しました。それまではあまり、日本の競泳界にはスターがいなくて、鈴木選手のおかげで、日本の水泳が注目されるようになったんです。そんな奇跡が今回の東京オリンピックでもあれば、与党の支持率、回復が見込めるのでは‥‥。
池江璃花子選手らの大活躍で、これまでの呪いが水に洗い流され、リセットされることを切に願っています。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京都出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て12年に国会議員に。16年に辞職し、経営コンサルタント。6月30日に著書「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)を上梓。