元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
自民党・石原伸晃元幹事長のコロナ入院に「なぜ無症状で即入院できたのか」という疑念の声が。実際の症状がわからないので、いきすぎた憶測はできませんが、議員が大したことないのに入院するのは「ちょっくら人間ドック行ってきます」みたいなものなのです。
ほとんどの議員にはかかりつけ医師がいますし、医療は厚労省管轄。議員や省庁といった国の権力に弱い。無理を強いれば、病床のひとつくらいは確保できるでしょう。石原さんがそうだとは言いませんが、皆さんもやっぱりそうだろうな、と思うでしょうね。
いやいや、そうは言ってもコロナなんだから、完全隔離のコロナ病床じゃないとダメなんじゃないの。減圧室とか、コロナ対応できる医療従事者がいないと。そもそもコロナを受け入れる病院はもう満床で、みんな自宅待機してるじゃないですか‥‥ですよね。
でも、それが一部で少し変わりつつあるのです。どうすれば感染を防げるのか。具体的な対策事例が増えてきているので、100%ではないにせよ、医療従事者側が「コロナ対策のツボが見えてきた」と話していました。その気になればもっとコロナ病床を増やせるのですが、病院側がそれを受け入れたら「(コロナ以外の)患者さんが恐れて二度とこの病院に来なくなってしまうのではないか」と、そっちの恐怖が勝ってしまい、いまだに医療現場は逼迫しているというのが現状です。なので石原さんの分くらい、ポンッと空けられますよ。
さて、石原さんが感染したことで、坂本哲志地方創生相との会食がバレてしまいました。あれだけ飲食はダメだと言っておきながら、議員たちの会食がいまだに続くのはなぜか。
先日も自民党のマツジュンこと松本純元国家公安委員長が深夜まで銀座のクラブをハシゴしたとして、陳謝を余儀なくされました。年末に菅総理らの大人数ステーキ会食が大批判を浴びた際に「会食ではなく意見交換を目的に会ったのだからよい」と答えた二階幹事長。決して二階さんが例外ではなく、議員の多くは「リモートの会議」という概念がないので、どうしても集まってしまいます。
そもそも議員たちの敵はコロナではなく「支持率の低下」なんですから。コロナ罹患率と死亡率の数字よりも、政権支持率の方が怖くて。
WHOが提唱する超過死亡概念(インフルエンザで直接亡くなるのと、罹患している慢性疾患が悪化して死亡するパターン2つを合わせた死亡率のこと)の数値云々に対し、コロナはまだそこまで到達していないと漏らすなど、国民の考える世紀末感とは違った感覚で過ごしているのです。
石原さんは無症状だけれど不整脈の既往症があるため、大事をとって1月22日に入院しました。かかったら急に怖くなっちゃったんでしょうかね。
1月23日の全国の新規死亡者数は83人。この前後の1週間で平均100人が亡くなっています。石原さんが無症状で即日入院できた一方で、救急車でたらい回しにされた挙句、入院できずに自宅療養のまま亡くなった方もいるでしょう。だから「国会議員の特権」「上級国民」と国民に揶揄される。その気持ちはよく理解できます。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。