元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
緊宣(緊急事態宣言)、延長されてガッカリの声が聞こえます。「明けたらお食事にでも行きましょうね」。そんな明るい挨拶が増え、お籠り気分も晴れていくかなぁ…などと期待していたのに。
1月からの緊宣では国会議員が4人、銀座トリオと白須賀氏が処分されましたが、さて。今回の延長によって、また誰かが消えるかもしれません。
高額接待問題で辞めた山田真貴子前内閣広報官も、そのクチですね。意外にあっさりと、山田さんは幕引きしました。彼女は優秀なので、この先は増田寛也氏みたいな元官僚、元総務大臣からの日本郵政社長に就任、といったステージチェンジもあるのでしょう。が、政界から消えたのは非常に残念です。
一方、菅総理の長男、菅正剛氏はそうはいかず。いくら部署異動になったとはいえ、ひょっとしたら、これ以上のネタが出てくる可能性があります。
僕はこの一件には大いに首を傾げているんです。正剛氏は菅総理が総務相時代、「大臣政務秘書官」というポストに就いており、このポストが国会議員の子息の「指定席」ともなっているということ。これが常態化しているとすれば大きな問題ですが、「大臣政務秘書官」って、どうやって指定できるのか…。いや、子どもが親の力を使って職に就くって、よくあることですよね。
大御所芸能人の御子息が大手代理店に入社した、とか、2世で全くダメだけど親の会社を継いだ、などというのは、よく聞く話。力ある親の縁者が特定の分野で忖度されるのは蔓延している事実であって、企業側からしても当たり前のことでしょう。大臣秘書官を経験した人ならきっと、リクルーティングしたいですもん。
日本国憲法第22条においても「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」とあるので、どんなバカ息子にも職業選択の自由はあります。しかも正剛氏は一般人なのに「正剛氏=東北新社」「元バンドマンでプラプラしていた」、加えて、チャラい風貌の写真付きで、個人情報まで暴露されています。はて、どっちが正義なんでしょうね。
権力者の親族に気を遣ってしまう輩が出現するのは自然の摂理だし、それを忖度というのであれば、ハッキリとした線引きのあるルールを決めていかないといけない。そうなると権力者の親族は、職業選択の自由が損なわれます。
実はこの件、安倍昭恵さんの森友問題から風向きが変わりましたよね。権力者の妻が勝手に陳情を受けてしまったことが問題であり、法律には触れていないんです。とはいえ、極めてグレーでしかなく、人の命を失うにまで及んでしまったので、ここは厳しく追及すべきでした。
もっとソフトでグレーな例で言えば、前原誠司氏については、「前原の妻です。こちらをよろしくお願い致します」と、お香典をよく奥様が持ってこられる、というのは有名な話です。よくよく考えたら、それだってアウトなのでは。うーん。やっぱり親族問題は難しいです。
正剛氏が東北新社を辞めるという噂まで出ていますが、またバンドマンに戻ったりして。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。