今オフのプロ野球FA補強戦線、やはりというべきか、札束攻撃が得意の巨人が大物を続々かっさらっている。広島から大竹寛、西武からは片岡治大を獲得。FAではないが、中日に非情の「戦力外通告」を受けた井端弘和も巨人入りを決めている。
「井端には楽天もアプローチしていましたが、最初から全くソノ気はなかった。巨人が早くから極秘裡に井端と接触し、話は既にまとまっていたのです。あとは発表のタイミングを待つだけという状態でした」
中日担当記者は巨人のブランド力、交渉力をこう明かすが、より巧妙だったのは、大竹獲得の過程である。巨人担当記者が言う。
「現役時代に広島から巨人に移籍し、引退後にそのままコーチとなっている江藤智コーチと川口和久コーチが大竹を盛んに誘う裏工作を行ったのです。2人の殺し文句は『巨人に来たら永久就職だ。(将来も)丸抱えしてくれるぞ』でした」
江藤コーチは09年の引退後すぐに巨人育成担当コーチに就任したのを皮切りに、2軍育成コーチ、1軍打撃コーチ、そして来季からは2軍打撃コーチに転属することが決まっている。川口コーチも09年から総合コーチに就任し、そのまま現在に至っている。巨人担当記者が続ける。
「江藤コーチは定期的に1軍と2軍を行ったり来たり。1軍で成績不振だと担当コーチがクビになることはよくありますが、江藤コーチはその心配の少ない育成が主眼の2軍に転属し、少し経ったらまた1軍へ、の繰り返しでコーチ生命を延ばしている。かつて広島からFA入団した際、永久就職を球団から約束されているからです。川口コーチにしても、投手陣の成績に問題があってもクビにならずに地位を保っている」
そうした自身の体験、待遇の良さを先輩として訴え、グラつかせた末の大竹獲得だったということらしい。これで大竹も引退後の生活は安泰なのである。