自由連合が擁立した大量の候補者の中には、虎雄氏の命令で徳洲会グループの医師・看護師などもいた。大敗の翌年である02年、全国から徳洲会幹部が招集される通称「四役会議」が開かれたのだが、虎雄氏は居並ぶ幹部に向かって、こうほえた。
「選挙をしなければ徳洲会は潰れていた。倒産に向かって突っ走っていた!(落選した)徳洲会の医者は二流三流ばかりだ!」
絶対権力を持つ、虎雄氏のひと言に幹部たちは震え上がったという。恐怖支配を政治部記者が語る。
「虎雄氏は、側近たちに医療のためなら法を犯すことも問題ないと説いていたそうです。常に動いていないと気がすまない性格で、『赤信号が大嫌い』と言っていました。運転手には『赤でも止まるな!』と指示し、守らないと車の中に常備しているお茶の缶で殴るそうです」
カネと権力を持つ虎雄氏にすり寄る女性は大勢いた。虎雄氏は携帯電話を所有していなかったのだが、そのことを指摘されると不敵な笑みを浮かべながら、こう答えたという。
「女性からどんどんかかってきて大変だから持っていないんだよ」
もちろん愛人とされていた女性もいたという。中平氏が証言する。
「Kさんという准看護師だった病院スタッフが愛人と言われ、選挙でもこの人との関係が書かれた怪文書がばらまかれました。医者とナースとして接しているうちに男女の仲になったようです。虎雄の庇護もあり、Kさんは徳洲会の幹部職員になりました。看護師を統括する役職に就き、どこに誰を派遣するという采配をしていました」
松方弘樹の愛人で隠し子を産んだ、歌手の千葉マリア(64)、ジェームス三木氏の元妻・山下典子氏(74)も自由連合から出馬した。2人は虎雄氏にべったり寄り添っていたという。
「虎雄はマリアさんの仕事を作るため、大久保のクラブのママに『マリアの(歌う)時間を作れ』と言っていました。のちに彼女は、アルコール中毒の息子を徳洲会の病院に入院させました」(中平氏)
山下氏について虎雄氏は、こう言っていたという。
「山下典子は俺が言わなくても電話をよこすし、誘ってくる」
中平氏が続ける。
「山下さんも『虎ちゃん、大好き』と言い、いつもそばにいたいようでしたね」
政界に入ったあとも虎雄氏はカネをばらまき続けた。そして永田町に強い影響力を持つようになっていったのだ。