出演したアーティストからは続々と後悔や謝罪コメント、出演しなかったアーティストからは苦言が続出している、8月29日に愛知県常滑市内の「AICHI SKY EXPO」で行われたヒップホップ系野外フェスティバル「NAMIMONOGATARI」。
前売り券を購入して集まった観客から招待客など関係者含め、約8000人が密となりマスク装着もズサンなまま、そして禁止されていたはずの飲酒までしながら騒ぎまくる光景が拡散されると、各方面から批判が殺到。イベントを許可した愛知県知事や常滑市長も当初の約束とあまりに違うイベント内容に失望を露わに。2005年から続いていたという夏の恒例イベントを今後は同じ場所ではやらないことを示唆する事態になった。さらにSNSでヒップホップファンからも批判が膨れあがる中、30日夕刻に主催者の「オフィスキーフ」が公式サイトで「お詫びと経緯のご説明」とする謝罪文をアップ。しかし、世間の怒りの声は一向に収まる気配がないとか。
「昼間のワイドショーなどでも取り上げられたことが大きいですね。愛知県側は、国内最大級の野外ヒップホップイベントという伝統のイベントであることと、きちんと感染症対策をしているならすべてを中止するのはよくないという、とてもポジティブなスタンスで開催を許可していたそうです。ですから、酒類の販売を強行したり、観客のマスク装着に対する対策もずさんなど、そういった数々の裏切り行為がここまで非難される原因となりました」(エンタメ誌ライター)
また、出演者の一人であるZeebraからもツイートで〈県のルールに則ってると聞いていたので出演しましたが、開けてみたら危険な状況でした〉と会場の野放しぶりを明かしたことも大きいようだ。Zeebraは、自分の事務所スタッフが、消毒液を配布して会場を回り、自分のステージでも注意を促したとして、〈そもそも出演すべきでは無かったという意見もごもっともだと思います〉とも謝罪している。
「もともとヤンチャなタイプの観客が多いイベントだっただけにそのあたりの感染対策はほかのイベント以上に徹底するべきだったのが、むしろ他のイベントよりも緩い印象です。謝罪文では、場内で常に感染対策を呼び掛け、ソーシャルディスタンス用のステッカーを貼っていたと釈明していましたが、マスク未装着で人がぶつかるほど密の状態がみられたそうです。場内放送で注意の呼びかけはしても、恐らく改められないことも承知の上だったのではないかとの批判も無理はありません」(前出・エンタメ誌ライター)
そんな中、世間ではどんなに謝罪しようと「絶対に信じない」「許さない」といった意見が少なからず出ているという。それは同イベントの公式インスタグラムと思しきアカウントが、コロナ感染への危機からチケットの払い戻しをお願いした購入者に驚くべきひどい対応をとったという、「やり取り画像」が拡散しているとの情報が原因だ。
「そのやりとり画像の内容は、4月にチケットを購入していたファンが払い戻し希望のまま時間が経ち、直前にSNSで問い質すとそれに対し運営側が『緊急事態宣言中もイベントはやってもいいんですよー?』『開催される以上、払い戻しはありませんよ』などという見下した対応をしているという内容です。それで、その後の謝罪文など『信じられない』となっているわけです」(前出・エンタメ誌ライター)
本来なら社会にメッセージを送れるタイプの音楽がヒップホップ。しかし、さながら迷惑系YouTuberのように人々が顔をしかめるような始末だったとしたら、築き上げたものが水の泡と怒るアーティストがいるのも当然だろう。
(塚田ちひろ)