スポーツ

川上哲治 同郷V9戦士・末次利光が明かす「肥後もっこす」ぶり

20140102_0109jj

 川上哲治といえば、野球ファンに説明の必要はない。現役時代は「打撃の神様」、そして監督としては不滅の巨人軍V9を達成した。現役時代、V9選手の一人として支えた末次利光氏(71)が語るその素顔は──。

「何より、同郷(熊本県人吉市)であることが大きかった。何といったって川上監督は“神様”なんですから。だから、入団して2、3年は、とてもじゃないが口をきけるような存在じゃない。偉大すぎて。(のちに入団した)堀内(恒夫)が気安くしゃべるのを見て、うらやましかったよ(笑)」

 末次氏が言うように、川上氏は厳格な性格で知られており、選手には厳しい指導を持って当たっていた。もちろん、そこに同郷のよしみなどという甘えは寸分も入らない。この川上氏の「厳しさ」は報道陣にも向けられる。徹底した報道規制、いわゆる“哲のカーテン”だ。しかし、末次氏はその真意をこう語る。

「“哲のカーテン”も誤解されている。監督は何より選手のこと、野球のことを考えて、『ここからは(哲のカーテンだ)』と言ったのに、それに尾ひれがついて伝わってしまった。ただ、監督はそれに対して言い訳は一切しないんです。典型的な『肥後もっこす』(頑固一徹な熊本の県民性)の気質なんです」

 つまり、「選手のことを考えて練習を非公開にしたい」といった説明を丁寧にすることなく、報道陣をシャットアウトしたことが、当時は今以上に反発を呼んだということのようだ。

 そんな川上氏の薫陶を受け、のちに指導者となる末次氏だけに、大きく影響を受けたのは言うまでもない。

「“報恩感謝、野球人としてより、一人の人間であれ”が口癖。試合前も松下幸之助さんや、本田宗一郎さんの話を野球に例えながら、勝負への取り組みを話してくれた。何といっても我々は社会人の経験がないからね。それと、コーチとしては、指導方法‥‥ひと言で言えば、最後まで諦めない。勝負に対する執念。これは、ものすごく勉強になった。特に、今の選手は結果をすぐ求めるが、どんな状況でも厳しく最後まで諦めない。まあ、今は、子供相手(現在、「ジャイアンツメソッド宮崎ベースボールスクール」名誉校長)なので厳しくは言えないけど(笑)」

 川上氏が亡くなる前の数年は、残念ながら会う機会がなかったというが、それでも末次氏の川上氏への畏敬は変わらなかった。

「現役時代は、ともかく、野球に打ち込める環境を作ってくれたことが大きい。野球人として考えると、昭和40年、V9のスタートから入団できたのは野球人生最高の幸せだったと思う。それだけに、川上監督が亡くなったのはショックです。こんな衝撃は現役時代、練習中の事故で視力が極端に落ち、現役を続けられなくなって以来です。選手生命が突然、終わったことと、監督が亡くなったこと‥‥人生の2大ショックですね」

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論