リーグ3連覇を達成しながらCS(クライマックスシリーズ)・ファイナルステージで阪神に悪夢の4連敗を喫し、まさかの敗退。その屈辱を晴らすべく、巨人はオフに入った直後から水面下で来季へ向けたチーム編成を行っている。しかし、積極的に動けば動くほど、原辰徳監督(56)の計算は狂いっぱなし。早くも原巨人が迷走しているようだ。
まず大誤算となったのは、不動の正捕手・阿部慎之助(35)の一塁コンバートである。指揮官が秋季キャンプ中に、はやばやと大型コンバートを公言した理由は、2年目の小林誠司(25)を将来の正捕手として本格的に育成するべく、起用機会を増やすためであったが、それより何よりも、国内FA権を取得した楽天・嶋基宏(29)を獲得できると踏んでいたからであった。
ところが、思惑が外れてしまった。その舞台裏について、球団関係者が明かす。
「原監督は『嶋は確実にFA宣言し、ウチが間違いなく獲得できる』と周囲に吹聴し、大きな手応えをつかんでいた。ところが、蓋を開けてみたら、嶋は権利行使せず楽天に残留しました。それを聞いた原監督は血相を変えて嶋獲得の実行部隊として動いていたスカウトのA氏を自分のもとに呼び寄せて、『“嶋は間違いなく獲れます”と言ったはずじゃないのか』という感じで叱責したそうです」
原監督は、A氏から事前に嶋の獲得が「ほぼ内定」という情報を耳にしていたというのだ。
「だから、嶋の心をもうワンプッシュして移籍を確実にするため、阿部の一塁コンバートを宣言して“ポジションを空けて待っている”とアピールしたんです。しかし、それもむなしく空転してしまった。原監督が慌てふためいたのも無理はありません」(球団関係者)
話を総合すると、確かに嶋は当初、距離のあった大久保新監督の就任で「FA宣言⇒他球団への移籍」のシナリオを描いて決意しかけていた。しかし、楽天・三木谷浩史オーナーから、じきじきの慰留を受けて「残り続けてくれるならば」と“将来の監督手形”を示されたことで“決断”を、急きょ撤回したというのだ。
「嶋獲得に動いていた巨人サイドのA氏は、この流れをまったく読み切れずに『嶋の意中は絶対にウチ』と万全の根拠もないまま最後まで楽観視し続け、原監督もそんなA氏の情報を鵜呑みにしていたのです。もともと巨人は、オフのストーブリーグにおいての情報戦は出遅れが多いことで有名でしたが、結局ここでも“悪癖”が顔を出しましたね」(球界関係者)