セ・リーグの他球団に目を向ければ、前評判の高かった巨人と広島が好スタートを切りました。広島はチームバランスが整っています。エースと4番、センターラインの守りという優勝チームに必要な条件を備えています。
やはり前田健太という絶対的エースを持っているのは強みですし、来日2年目のキラも日本の配球に慣れ、落ち着きのある4番打者となりました。菊池、梵の二遊間は攻守に安定感があります。特に二塁手・菊池はお金を取れる守備です。一度、球場に足を運んで菊池の守備位置を見てください。甲子園球場なら外野の芝生の上です。他の二塁手より2歩も3歩も後ろで、守備範囲の広さは球界随一です。
各評論家が優勝の本命に推した巨人は、やはり野手の戦力が充実しています。来日2年目で日本の野球に慣れたロペスが好調ですし、新外国人のアンダーソンも広角打法で率を残しそうです。開幕3戦目から、阿部をクリーンアップから外しましたが、それも両外国人が好調だからこその策です。片岡も、長打も嫌らしさもある2番打者として、相手球団にはやっかいな存在となりました。
ですが、巨人も投手陣のほうはまだ盤石とは言えません。先発の頭数も足りませんし、救援陣も昨季ほどの安定感はないと見ています。原監督が開幕3戦目で阿部を5番から6番に下げたのも、リードのほうにより専念してほしいとの狙いがあるはず。まだ他球団のつけいる隙は十分にあります。
野球の格言で「打線は水もの」という言葉があるように、優勝するためにいちばん大事なのは「守り」です。85年の阪神も打線の力で日本一になったイメージがあるかもしれませんが、日本シリーズで戦った西武・広岡監督が驚いたほどの守備力があったのです。だからこそ、今年のタイガースも打線が元気なうちに、投手を中心とした「守る野球」のリズムを作る必要があるのです。