新関脇・若隆景(わかたかかげ)の初優勝で幕を閉じた大相撲春場所。さて、本誌独占告白第3弾は、元幕下・旭天山(きょくてんざん)関こと佐野武(さのたけし)さん。旭天鵬、旭鷲山に続いてのモンゴル出身力士に聞く「私だけが知る白鵬(ダヴァ)」篇である。
「入門時(2001年)の白鵬(ダヴァ)で印象に残っているのは、相撲教習所のABCがある稽古土俵での安馬(あま)に対する強烈なライバル意識でした」と語る佐野氏。旭天山関は1992年に旭鷲山、旭天鵬ら5人と共に来日。1992年三月場所が初土俵。大島部屋所属で最高位は西幕下13枚目。現役中は相撲教習所の指導員を務めていた。
「当時の安馬が教習所に来た時は三段目。実力者がひしめくA土俵でもトップクラス。その土俵へ白鵬(ダヴァ)も上がるんだよ。当時60数キロだったかな。『B土俵は嫌だ! A土俵でやらせてくれ』って」と旭天山関はその負けん気の強さを証言する。さらに、プライベートでは、「オフの時に仲間で海外に遊びに行ったことがありました。気持ちは完全に遊びモードで夜遅くまで飲みまくりましたね。白鵬(ダヴァ)は俺と同じ部屋だったんだけど、俺は部屋に帰ったらバタンキュー」と旭天山関。そして、秘話が明かされる。「そのうちベランダで何か音がするんで」起きた旭天山関の目に飛び込んだものとはいったい…!?
さて、『白鵬本紀』第47番は、「旭鷲山の夢」。
2006年、場所前の巡業先。稽古場を独占する安馬と白鵬に旭鷲山が声をかける。「お前らふたりが入って来た時に俺の夢があったんだ!」「どんな夢ですか?」と応ずる白鵬。そこで旭鷲山が明かした夢とは?
2006年三月場所。安馬は東前頭2枚目。白鵬は東関脇。旭鷲山は東前頭13枚目。6日目である。白鵬の対戦相手は安馬、下手投げが決まり白鵬6連勝。さらに快進撃は続き、迎えた11日目。10戦負けなしの朝青龍との全勝対決! 優勝争いは朝青龍と白鵬との一騎打ちの様相を呈していた。そして決戦の行方は…?
「記憶に残る取組は朝青龍関に勝った金星と63連勝後、稀勢の里関に負けた一番です!」と語った白鵬。数々のライバルたちとの名勝負を描いたトクマコミックス「白鵬本紀」第3巻「生涯のライバル現る!」が発売中である。日々、勝負しなければならない男たちに、その本質を教えてもくれるエキサイティングな若き日の白鵬が躍動する「白鵬本紀」第1巻「英雄の子」、第2巻「白鵬のいちばん長い日」と併せ、一気読みのチャンス到来と言えよう。